ローマ帽子の秘密 (角川文庫)
ローマ帽子の秘密 (角川文庫) / 感想・レビュー
W-G
割合ハッキリ内容を覚えていたので、ずっと積んでいたものを、我慢出来なくなって読んだ。こんなに面白かったっけ?というくらい楽しめた。フーダニットの切れ味は、まだそこまでではないものの、解決編までの、容疑者にあたっていく過程に起伏があり、これぞ本格!な香りが濃厚。訳がいいからだろうか。解説にあるように、デビュー作にしてはずいぶんエラリーの影が薄く、リチャード警視推しになっているのは、ファンの賛否が別れそう。あと、犯人に意外性はあっても、事件自体は不可思議さがなく地味な部類。そういった面では風味が足りないかも。
2018/06/19
nobby
国名シリーズ①帽子...帽子ー帽子ー帽子!被害者の元から消えたシルクハットが全てを握るのは「だれがモンティ・フィールドを殺したのか?」冒頭の《主な登場人物》30人以上や劇場見取図にビビりワクワクしながら2人のQの活躍を満喫♬思わせ振りなレーンと違い推理を勿体ぶらず事件を追っていく展開がいい(笑)元々〈読者への挑戦〉に挑むつもりのない自分は、意外な犯人やロジカル満載な真相解明を素直に楽しんだ!22個と細かく分けられた章のト書きの様なタイトルが分かりやすい。ほのぼの愛情溢れる親子コンビの続けての活躍が楽しみ!
2022/12/15
エピファネイア
クイーンの国名シリーズは未読。第一作にして最も著名な本作を手にした。角川文庫版を選択したが正解だったようだ。「読者への挑戦」をうたう場合、犯人を特定するための情報が網羅的に提供されている必要があるが、そのためには翻訳者が随所に散りばめられたヒントを正しく理解しクイーンの意図どおりに正確に翻訳することが重要である。本書の解説の方によると過去の翻訳ではそれができていないケースが見受けられたとのこと。翻訳者の気苦労は並大抵ではなさそう。挑戦を受けて立つ気はないので演繹法によるエラリーの見事な推理を堪能して読了。
2023/04/03
周到&執拗
新訳版で再読。色々と懐かしかった。ただ解説者のフェアプレイ論は妄言。オッドメント(目次など)や探偵役不在場面を除き、探偵役と読者は同等な立場のはずである。むしろ被害者の悪評を先刻承知なエラリーが“帽子がないのは変”と考えるほうが不自然で(悪党の他殺体から何かが奪われている事案は珍しくない)、帽子がないのは変→計画性なし→犯人は自分の…、という推理は読者目線でこそ頷けるものだ。贔屓の引き倒しはやめてほしい。せっかくの楽しい迷路遊びが、世にこれ以上の迷路なし、と屁理屈をこねる狂信者のせいで興ざめになった。
2016/02/24
NAO
ブロードウェイのローマ劇場内で弁護士のモンティ・フィールドが毒殺された。モンティ・フィールドは悪徳弁護士で、恨んだり憎んだりしている相手なら数しれないといわれている。その被害者のポケットからは女性のハンドバッグが発見され、被害者が被っていたはずのシルクハットはどこにも見つからない。被害者は、なぜ殺されたのか。シルクハットはなぜ見つからないのか。事件よりも稀覯本の方が大事とでもいいたげなエラリーは、ツンデレなのか。とはいえ、ちゃんと父の役にたっているのだから、親孝行な息子ではある。
2021/08/09
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