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山椒大夫・高瀬舟・阿部一族 (角川文庫)

山椒大夫・高瀬舟・阿部一族 (角川文庫)

山椒大夫・高瀬舟・阿部一族 (角川文庫)

作家
森鴎外
出版社
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日
2012-06-22
ISBN
9784041002872
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山椒大夫・高瀬舟・阿部一族 (角川文庫) / 感想・レビュー

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NAO

『阿部一族』封建社会の倫理体制の中で、外からかかってくる強い拘束やその時代の人々が習慣的に持っていた自己抑制が効かず、つい頭をもたげてきてしまう自我を抑えきれない。それが主君の怒りを買うのだとわかっているのか、わかっていても止められないのか、そうやって滅亡へとつきすすんでしまう阿部一族の悲劇。『最後の一句』の父の助命を求めるいちの自己主張。どちらの作品からも、江戸時代はまだまだ一部の人間以外は自己主張などできるような状況にはなかったということが強く感じられる。安楽死問題を扱った『高瀬舟』。『山椒大夫』。

2018/12/23

カブトムシ

「阿部一族」は肥後藩主細川忠利の死に際して、殉死を許されなかった阿部弥一衛門が家中のうるさい取沙汰に耐え切れず、追い腹を切る。ところが遺族は殉死者の遺族としての処遇を受けられず、かえって侮蔑が強まる。嫡子権兵衛の先君の一周忌の行動も非礼をとがめられ、縛り首にされる。次男、三男ら一族は屋敷に立てこもり、藩の討っ手と戦って全員壮烈な最期をとげる。権威と秩序への反抗や人間心理をテーマとする鴎外歴史小説の代表作。高校時代に活字を読んだが、今は、いろんな人の朗読テープを聴いている。鴎外の短編は優れたものが多くある。

tsu55

史書や説話から想を得た森鴎外の短編を集めたもの。 新字・新かなづかいに直してある。 簡潔な文章で、心理描写も省かれているので、気を抜いてぼんやり読んでいると、まったく伝わってくるものがないが、しっかり読めば、後から感慨がじわじわ寄せて来る。唐の女性詩人を描いた『魚玄機』や、家康のもとから逐電し、朝鮮の使者に姿を変えた武士を描いた『佐橋甚五郎』など、少し毛色の変わった話も入っていて、面白かった。

2022/08/28

megu

鴎外晩年の短編集。鴎外は医師だったこともあってか、死をテーマとした作品が多く、この時代に倫理観に訴えるような作品を多く残していることにまず驚いた。特に好きだなと思ったのは、“山椒大夫”、“最後の一句”、“魚玄機”。“最後の一句”では、父が死刑に処される代わりに、わたくし共子供を殺してくださいと願い出る、まだ十六歳の娘、いちの姿に心打たれる。また“魚玄機”では、独特の雰囲気と、漢詩がとても美しい。心に響き、考えさせられる作品ばかりだった。“舞姫”など、鴎外の他の作品も読んでみたい。

2022/07/16

Y

人間への驚きがつまっていた。人間はときに自分の決めた道をゆくためには他人からすれば予想を大きく超えた行動をとったり、思いもよらないものに誇りをかけていたりしておもしろい。「じいさんばあさん」は冒頭から予想外の展開にいつまでもしみじみと心に残った。仕えていた主君のために殉死した武士に負けないぐらい、おばあさんの気持ちの強さとやり遂げる一途さに感動した。「高瀬舟」は境遇から満たされるはずの無い人が穏やかに気持ちが満たされていて、どうやっても満たされることのない自分の欲深さを改めて省みてしまう作品だった。

2017/03/18

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