友情,愛と死 (角川文庫クラシックス む 1-1)
友情,愛と死 (角川文庫クラシックス む 1-1) / 感想・レビュー
美羽と花雲のハナシ
「愛と死」主人公は野々村の妹夏子に恋をする。夏子も実は主人公に惹かれており、二人は徐々に心を通わせる。幸せ絶頂の最中、主人公はパリに旅立つ。この作品で注目してほしいのは夏子、書簡、思想の三点である。夏子は文学作品の中でも屈指の可愛さと破壊力を持つヒロインだ。主人公から届いた手紙を読んで、夏子はあまりの嬉しさに手紙を口に咥えて三度でんぐり返しをする。また、主人公と夏子の手紙のやり取りも非常に甘~い。バカップルか、と突っ込みたくなる程ラブラブな内容。生と死への考察、日本と西洋の比較など主人公の思想も興味深い。
2013/05/01
さっとる◎
「失恋能力」の高い実篤さん2作目。「お目出たき人」の印象のまま読み始めちゃったら何だか意外とシリアスだった(笑)「友情」「愛と死」タイトルそのままの2作品。一人で勝手に恋に恋して当然の如く失恋すると当然ながら滑稽さが前面に出る。「友情」ではそこに美しく理想的な友情が絡んでくる。滑稽な恋の質は変わらないながら作品が与える印象は随分変わる。「愛と死」では、ロマンチックが止まらない実篤全開でありながら生きている以上切実な問題であり続ける「死」が影を落とす。愛する者を失って、それでも生きる。「失う」の意味も様々。
2016/04/22
カブトムシ
武者小路実篤の初期の代表作。大正8年(1919年)に新聞小説として、大阪毎日新聞に連載。脚本家「野島」と小説家「大宮」とは友人。野島は別の友人の妹「杉子」に強くひかれ、恋を感じ、そのことを大宮にうちあける。大宮は洋行。1年経って野島は思いきって杉子に結婚を申しこむ。しかし、杉子から断わられてしまう。さらに1年経って杉子が洋行。ついで大宮から作品の掲げられた雑誌が送られてくる。そこには大宮と杉子とがかわした手紙がそのまま載っていた。野島は大きな打撃を受けるが、その失恋をバネにさらに強く 生きていこうとする。
ナチュラ
「友情」も「愛と死」も美しく、切ない。素晴らしい恋愛小説だった。
2019/12/29
星野
武者小路実篤は初。いや、凄い面白かった。やっぱり文学は清々しく、雄々しいものであると再確認。久々に夢中になりするすると読破した。友情は・・・あれは仕方ない、めちゃくちゃ大宮良い男だもん^^(笑)愛と死は二人のやり取りが可愛く高らかで、こちらまで恋愛特有の浮遊感を味わえた。両作品とも恋愛をメインにあげているように見えて、その実生における芸術は苦しみから生まれるという事実を提示しているように思えた。著者の作品、他も探してみようっと。続
2011/03/05
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