武者小路実篤詩集 (角川文庫 し 1-8)
武者小路実篤詩集 (角川文庫 し 1-8) / 感想・レビュー
ムッネニーク
75冊目『武者小路実篤詩集』(武者小路実篤 著、1999年1月、角川書店) 白樺派の代表的作家、武者小路実篤の青年期から晩年までの代表的詩篇をほぼ年代順に収録。平素な文章と素朴な視点で書き表される実篤の詩は、誰でも書けるのではないかというくらいに脱力感がある。しかし、その中に潜む力強い生への渇望と戦う意志は、必ずや読者を勇気づけることだろう。 苛立ちや恐れが現れた20代の作品から、涅槃の境地にも似た90代の作品まで、大作家の一生を覗き見ることが出来る一冊。 「弱き者よ、立て!」
2023/08/28
新地学@児童書病発動中
詩は道徳的なものだと思う。外側にある道徳ではなく、自分の内側にある道徳を信じるのが真の詩人。そういった意味で武者小路実篤は萩原朔太郎や中原中也よりもはるかに素晴らしい。個人的な好みとしてはもう少しイメージやリズムがあった方が良いと思うが、この分かりやすさ清々しさは誰にもまねできない境地だと思う。日本人は自分の胸の内を素直にさらけ出していいと思う。それはこのような詩になるのだから。武者小路実篤のように生き生きと生きられるのだから。
2013/09/17
masa@レビューお休み中
するりと胸に落ちてくる。読みやすくて、同じ場所に立って情景を見ることができる。それは、やはり武者小路実篤の性質によるものなのだろう。90歳までの作品が集められているのだが、常に想いや信条といったものが一定で一貫している。真面目で、純粋で、文学者、画家としての彼の生き様が美しいと思ってしまう。美しいけど、儚くはない。寧ろ、骨太で、力強さすら感じてしまう。それは、確固たる信念で被われているからであろう。同じ志しを持った仲間がいたからであろう。だから、こんなにも真っ直ぐ胸に響くのだ。
2012/08/01
有沢翔治@文芸同人誌配布中
白樺派を代表し、「友情」などの小説を書いた武者小路実篤。絵を残すばかりではなく、宮崎県に「新しい村」を建設した。素朴な詩を二千作以上も書き残して、「無車詩集」も出版している。決して技巧的とは言えないまでも、率直に心境を綴っており、また一つの作風として確立している。 学生時代の恋愛、孤独、新しき村、そして絵への思いを率直に綴っている。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51513505.html
2020/06/20
ダイキ
武者小路實篤の作品を読んだのは、これが初めてでした。その文体から感じられる匂いや、小さい頃は作文が苦手だったというエピソードなど、読み進めていくうちに、色々と思うことはありましたが、「第八十回の誕生日に」を読んでからというもの、何も言えなくなってしまった。こんなお爺さんになりたいです。なろうと、思います。
2015/05/03
感想・レビューをもっと見る