赤い月、廃駅の上に (角川文庫)
赤い月、廃駅の上に (角川文庫) / 感想・レビュー
★Masako★
★★★★ 鉄道マニアである有栖川さんの、鉄道に纏わる10篇からなる短編集。"テツ怪”と書いてあるがそれほど怖くなく、幻想的な怪異譚かな♪内容はホラーからSFっぽいもの、ちょっと切なくなるものetcバラエティに富んでいて飽きさせない。そして、有栖川さんの美しく落ち着いた文章に心地良さを感じた。印象に残ったのは、乗り越したことで運命を変えてしまった女性を描いた「黒い車掌」、三途の川を舟ではなく汽車で渡るという発想が面白い「最果ての駅」、一番ホラーらしさを感じた表題作「赤い月、廃駅の上に」これはタイトルも秀逸♪
2020/09/13
いりあ
有栖川有栖といえば本格ミステリというイメージですが、本作は違います。なにかしら鉄道に絡めた怪談集です。ただし、怪談集とはうたわれてますが、ちょっとだけ日常から足を踏み外してしまった怪奇譚という風情の短編が多く収録されています。1本1本のお話がよく出来ていて、ただ怖がらせるだけじゃなく、思わずじーんとしてしまうような泣かせる話やコメディタッチの話など作者の懐の深さを堪能できました。ぜひ、電車の中で読むことをオススメします。出来れば、都会を走っている鉄道ではなく、田舎を走っているローカル線の中で…。
2012/10/03
おかむー
初の有栖川作品は推理モノでなくてファンタジー風味のホラー短編集。本来の作風を知らないのでまぁ可もなし不可もなし、悪くない作品といったところ。『よくできました』。全編とも鉄道をテーマにしているけれど、鉄ヲタというほど深くはないので素人にも抵抗ない範囲。どことなくクトゥルフものを思わせる表題作『赤い月、廃駅の上に』、ホラーというより怪奇モノといった趣の『密林の奥へ』、船の上を舞台にして「どこが鉄道ものだ?」と思わせつつ、隠された大胆な背景から幻想的ともいえるラストを見せる『海原にて』の三作が好感触だった。
2014/07/13
さっちゃん
鉄道の怪談集。じんわりとした怖さや幻想的な恐怖でじわじわくる。日常のふとした瞬間に異界とつながってしまうツールとして、鉄道はうってつけの小道具なのかも。ちょっとコミカルな作品もあるけど、全体的に美しいホラーだった。
2020/08/06
眠る山猫屋
鉄道をモチーフにした奇妙な話とは知らず。まず表紙の美しさに惹かれた。そして初有栖川作品。コミカルなものから(社長生き返って良かったね)、おぞけを震う異界へのいざないまで、多彩。ジャングルの奥地へ引き込まれる物語は、今まで読んだことのないような展開で魅せられた。表題作も迫力充分だし、切ない話も甘すぎず、全体の完成度の高さを感じさせられた。
2013/02/21
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