お初の繭 (角川ホラー文庫)
お初の繭 (角川ホラー文庫) / 感想・レビュー
まるる
ホラー大賞受賞作ってことで読んでみた。ストーリー的には新しさを感じなかったけど、日本昔し話のような語り口が独特な世界観を醸し出しているのがいい。普段だったら顔をしかめるような固有名詞も、思わず本を閉じたくなるようなグロテスクなシーンもお伽話効果で読めてしまう不思議。 しかしなんといっても怖いのは生活苦の為に子供を売る親だ。親は子供を金に替える。子供はそれを親孝行だと思って健気に働く。女郎から女工に変わっただけ。そんな時代には二度と戻って欲しくないですね。
2013/05/02
スカラベ
第17回ホラー小説大賞。戦前の山奥の村における女工哀史だけど、異聞奇譚という雰囲気で奇妙な怖さが漂う物語。製糸工場で行われる作業は何とも淫靡でおどろおどろしいはずなのに、文体のせいなのかこれが強烈には伝わってこないのが不思議。また、もっといろいろな出来事やどんでん返しが起こると思いきや、そういったものもなく、淡々と進んで終わってしまった感あり。初めの方で結末が想像できるし、その最終の展開に行くまでが長くちょっとだれてしまった。ただ、主人公の少女たちの健気さや襲い来る悲劇についての切なさは伝わってきました。
2013/12/08
あも
第17回日本ホラー小説大賞受賞作。『あゝ野麦峠』を彷彿とさせる時代設定。故郷の家族のため製糸工場で働く少女達。中盤までは過酷な労働環境の中でけなげに頑張る少女達の青春…というか要するに野麦峠の劣化コピーのような描写がだらだら続く。ホラー大賞らしい展開に移行するのが遅いし、いざ移ってみるとまあ、何というか何じゃそりゃな、こんなもんに大賞与えるなよと言いたくなる1冊。エロ描写もグロ描写もあるにはあるが著者の熱い思いが伝わってこず薄っぺらい。何より登場人物の名前が寒い下ネタダジャレで溜息も出ないぐらいうんざり。
2013/04/29
F
ほのぼのとした語り口の女工哀史かと思いきや一変、弩級の基地外っぷり。開き直った悪趣味がいっそ清々しいほどである。単調なストーリー、明治期をモデルとしたお伽話のような舞台、それから登場人物たちの滑稽なネーミングや、間抜けた擬音などと、閉ざされた製糸工場の異常性が合わさってなんとも言えない世界を描き出している。余人には絶対にオススメできない作品。
2012/09/26
Yu。
時は明治から大正と言ったところでしょうか。。家族の為、生きる為、とある寒村に位置する養蚕場へ奉公する事となった少女達に待ち受けるは過酷な‥いえ究極の身売りという、もう不条理極まりない世界観にぐったりさせられる幻想凌辱ホラー。ただでさえ受け身一辺倒の不快な内容にも関わらず、更にダメ押しの下品丸出しなネーミングの数々を前に呆れ返ってしまうも思わずププッと笑ってしまう。そしてラスト‥やはりそう落とすのね…。
2015/05/18
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