芙蓉千里 (角川文庫)
芙蓉千里 (角川文庫) / 感想・レビュー
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
明治時代の終わりに、「大陸一の売れっ子女郎になる」夢を抱いて日本から哈爾濱(ハルビン)にやってきた少女フミの恋と成長の物語。登場人物の明るく前向きなキャラと相まって、『革命前夜』『神の棘』等に見られた息苦しいまでの緊迫感とかとは一線を画した冒険活劇といった感じの作品。既読の須賀作品に感じた深い味わいのようなものはないけど、逆に気軽に楽しめる漫画のような感覚で新たな発見をした感じ。更に続編もあり、フミとタエのその後が気になる。
2021/10/23
🅼🆈½ ユニス™
( 男女本能の差だろうか。正直な所、他の男達に抱かれる女郎と恋に落ちる事など想像した事もないが…それでもマインドコントロールして読んだ ) 👉 『芙蓉千里』シリーズの第1巻。辻芸で日暮らしをしてたフミは父親に捨てられ、買われた訳でもないのに女衒について遥々大陸にまで来る。売られて女郎になる運命に晒されたもう一人タエと2人で逆境を乗り越え、後悔しないはずのない究極の選択をしながら大陸で一流の女に夢を抱いて哈爾濱で成長する燦々と輝くヒューマンドラマ。是非このフミを追いかけて行って見たい❗️好★5❗️
2018/10/02
青乃108号
おそらく女性と男性で読んだ印象が大きく異なる作品。男って、所詮女の手の内でうまく転がされてるだけなんだな、という事が良くわかる。それでいい。俺も妻にうまく転がされて、頑張っていこう。そう思えた作品。
2022/08/27
名古屋ケムンパス
「人はいつか、いなくなる。…いつか全ては消え失せる。…忘れまいとすればするほど、心はねじれて、…体は凍えていく。」実の親から引き裂かれ、育ての親にも捨てられて、自ら望んで女郎に売られた少女フミの物語。夢を共有した美少女タエととも女衒に連れられた日露戦争後の哈爾浜(ハルビン)に渡ることに。「大陸一の売れっ子女郎になる」との大志?を抱いて逞しく生きる。戦争と革命の波が彼女たちを翻弄するも、女郎屋で働くほかに生きる道のない彼女たちの健気な生き様は、輝きを放つも儚く、物悲しい。でも、間違いのない傑作。
2021/09/26
のぶ
自分は須賀しのぶさんの本は「革命前夜」から入って過去の作品を追いかけているのだが、どれもが良くて、これもまだ全4巻の1巻目だがとても面白く読み終えた。1910年頃のハルピンの女郎宿、酔芙蓉にやってきた少女フミを中心とした話。今まで読んだ須賀作品同様、海を越えて舞台を取り、とてもスケールの大きな物語になっていた。当時の時代背景も良く描かれていて、大河小説になっていくような印象を受けた。また、この先フミの成長や恋愛も描かれていくような感じ。エンタメとして面白く、この先3冊も読めるのがとても楽しみな小説。
2017/03/19
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