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悲歌 (角川文庫)

悲歌 (角川文庫)

悲歌 (角川文庫)

作家
中山可穂
角川書店装丁室 大武尚貴
出版社
KADOKAWA
発売日
2013-01-25
ISBN
9784041006535
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悲歌 (角川文庫) / 感想・レビュー

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巨峰

能をモチーフにした3つの短篇。中でも「隅田川」が一番好き。原色の赤が溢れる。抜身の日本刀のような真剣で激しすぎる愛を描けば当代一の中山可穂さん。どんな形であれいつか新作を読みたいです。命有る限り待ちましょう。

2013/02/11

ゆいまある

中山可穂というと痛いほど切ない恋の話を書く人、というイメージだったので、おっさん主体の最初の何編かに感情移入できず、長いこと読みかけのままだった。最後の蝉丸は家族を失った天才声楽家の美少年と、彼を支えた青年のラブストーリーで、ケッヘルの習作ぽい。ようやく中山可穂感が出てきたんだけど、なんか、いつもより構成が今ひとつな気がする。これだけ大事な人がいるのに何故別の人と結婚しようとするのかさっぱりわからない。カンボジアで二人が再会できますように。そして末永く一緒にいられますように。

2018/12/09

紅香@とにかく積読減らします💦

『短歌においては定型という枠組みが枷ではなく翼になるように、原曲の存在は私を縛るのではなくかえってのびのびと表現の幅をふくらませてくれたのです』能楽をモチーフにした3編。どの話も印象深く、好きだと思わせる。あとがきをもって中山さんの言葉が届き、ますます見失いたくない作家さんの一人になりました。紙の本のこれから。読みたい本が絶版だったり。一冊の本が届く奇跡を最近、特に感じます。でも私は中山さんの作品に何度も何度もあいたいので、まためぐりあえるその奇跡を信じて、この宇宙の片隅で星が煌めくその時を待っています。

2014/12/31

松本直哉

能の物語を下敷きにして現代に置き換え、大胆に語りなおした三つの物語のうち、入水した娘を嘆き、龍となって川を薔薇で埋め尽くす「隅田川」と、声変わりしないまま中性的な声で歌い続ける少年を追ってアンコールワットをさまよう「蝉丸」がとりわけ忘れがたい印象を残す。愛は性別を超え、狂気の色合いを帯び、この世では叶えられないゆえに、彼岸に渡るよりほかにすべがない。原作では傍観者的な役割の隅田川の渡し守や蝉丸の博雅に相当する人物が、深く深く物語に関わり、読む者もまたそこにいつのまにか巻き込まれていることに気づく。

2023/12/13

麻衣

いつだって利己的に愛され貪るように欲しがられることに飢えている。/愛することは、いのちがけだよ。甘いとは思わない。/太宰の言葉は甘い甘い呪いです。愛すれば愛するほど苦しいという恋愛スタンスはとてもじゃないけど堪えられない。愛するひとよ、どうか助けてみてはくれませんか。

2017/02/15

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