ALONE TOGETHER (角川文庫)
ALONE TOGETHER (角川文庫) / 感想・レビュー
おかむー
決して明るく穏やかな物語ではない、かといって陰鬱なだけでなくほのかな希望が見え隠れする。『よくできました』。“他人と波長をシンクロさせる”という主人公・柳瀬の能力は、本人すら自覚できていない心の奥底まで抉り出す。作中で抉り出された深層心理は人の心の奥底に存在する昏い部分、でも本当は優しさや希望も同様に存在しているのだけれどね。柳瀬の関わったいくつかの物事は実はひとつもはっきりとした結末が描かれていない、物語自体もハッピーエンドといえるのかどうか?でもそれはそれでいいのだと思わせる不思議な読後感の作品です。
2015/01/19
ジンベエ親分
どうもこの人の文章は読み手の心の痛点をチクチクと刺してくるな。相手の波長に「シンクロ」してしまう能力を持った男の話。よく分からないだろうけど、自分も読むまで分からなかった。この「シンクロ」の能力は作中では「呪い」として存在していて、皆が(本人さえも)認めたくない自分と向き合い、壊れていく。作中の誰もがどんなに足掻いても他人と一つになれない孤独感を抱えて生きているのだけど、「シンクロ」の能力があっても救われるどころか、さらに孤独を深めてしまうあたりが痛い。それでもその真実にケンカを売る骨太さが好みの作家。
2019/10/19
陽
この作品はお勧めだ。 すごく哲学的で、俺が好きな分野だ。 人とのかかわりは深くない方が生きやすい。 ただ、そこに愛があるなら、深くかかわりたいと思うのは当然のこと。 だけど、知らなかった方が良いってこと、たくさんありすぎる人間関係。 それだけに人って、汚くて、自分勝手な本質なんだ。
2016/12/10
ミホ
他人の波長と同調(シンクロ)する能力を持った男が主人公の話。内容は重い寄りですが、作者の文章の書き方が好きなのですんなり読めました。本多さんは四作目、シリーズ読んでるので二種目なんですけど、男の人はどこか影があるというかなにか秘めてますね(笑)他のは違うかもですが。全てを曝け出してしまう事は良い事、悪い事にはっきり区分はできないですね。
2014/11/29
ひろ
「他人の波長にシンクロすることができる」という変わった能力を持つ主人公の、人と人の繋がりを描いた物語。幸福な終わり方でもなく、微妙な後味が残るけど、どこか温かい感じがするのはMOMENTに近いかもしれない。人と人はどこまでいっても分かり合えないのかもしれないけど、理解しようとする行為自体が重要で意味のあることだ、というのが趣旨になっているのかな…?自分の中で上手く咀嚼できていないけれど、作品の雰囲気は好き。
2013/12/31
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