モルフェウスの領域 (角川文庫)
モルフェウスの領域 (角川文庫) / 感想・レビュー
扉のこちら側
2018年215冊め。続編とは知らずに先に『アクアマリンの神殿』を読了してしまった。淡々とした前半と、謎が明らかになってくる後半の対比。彼女の思いは無償の愛なのか、二人の関係は共依存なのか。
2018/06/26
そる
人工凍眠というSFのような、でもすでに技術はありそうな近代医療がベースですが倫理や人権問題が主題だと思う。政治と医療の戦いだ。結局モルフェウスを守ってくれるものはモルフェンヌなのか。人間は結局感情によって行動するものだ。「涼子にとって拷問のような言葉。無邪気な善意は、時に悪意より人を傷つける。」「「この世界で一番大切なのは感情だ。坊やが五年間、眠りついでに詰め込んた知識なんて所詮はがらくた、感情という糸で編み上げなければ、やがては散らばったジグソーのピースのように、虚しく飛び散ってしまうものなのさ」」
2018/09/16
Hitoshi Mita
序盤から暫く一人語りの要素を纏い作者の考えを滔々と語っていくあたりはAI信者の海道さんらしいなぁと思いながらもかなり読み解くのが面倒になりそうだった(笑)初っ端からステルスシンイチロウの名前を見かけると流石桜宮サーガだなぁ〜と思ったり、ノルガ共和国での医務官が多分あの人だろうなぁ~なんて思ったりしながら読んでいく内にどんどんと引き込まれて行った。人口冬眠で眠り続けるアツシを見守る涼子の思い。どうしてそんなにまでしてと思わずにはいられない。涼子はそして眠り姫に。彼女が目覚めた時にはどんな世界がまってるのか。
2014/07/29
とら
壮大すぎる「つじつま合わせ」―海堂作品には珍しくSF要素が入っている。説得力があるから「凍眠-コールドスリープ-」というものが本当に実在するのだと思い込んでしまう程だった。ノン・フィクションだと。それが実用化に至っていないにせよ、やはりどこかでこういう技術の研究は進んでいるんだろう。まだ医療にも沢山の可能性がある。今までに全然やったことがない未知の領域のものを全て無下にするのはやはり可能性を捨てているだけなのだ。いつもとは毛色が違う作品で、イメージとしては”静寂”だった。でも素敵な物語だった。続きも期待。
2013/12/13
hiro
海堂さんの新刊がでると桜宮サーガのメンバーに会いたくて、どうしても読みたくなる。今回も図書館で『アクアマリンの神殿』を予約したが、その順番が来そうなので、前編のこの本を慌てて読んだ。解説を読んで『ジェネラル・ルージュの伝説 海堂尊ワールドのすべて』を引っ張り出してきた。なるほどこの本は、年代のつじつまが合わないため、海堂さんの虚数空間のほころびを繕う、つじつま合わせらしい。つじつま合わせの本の続編まで出るとはすごいw 内容の紹介に最先端医療ミステリーとあるが、最後になってなるほどミステリーだと気づいた。
2014/07/27
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