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キリン (角川文庫)

キリン (角川文庫)

キリン (角川文庫)

作家
山田悠介
出版社
角川書店
発売日
2013-06-21
ISBN
9784041008768
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キリン (角川文庫) / 感想・レビュー

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イアン

★★★★★★☆☆☆☆優生思想を皮肉った山田悠介のSF長編。優秀な遺伝子のみを扱うジーニアスバンクを通じて生まれた兄・秀才と弟・麒麟。驚異的な知能を有する兄とは裏腹に5歳にして成長が止まった麒麟は〝失敗作〟の烙印を押され…。我が子を自分のステータスとしか捉えられない親達に苛立ちつつも、これに近いことが現に行われているという事実に戦慄する。突然現れたシミと止まった成長の因果関係はもっと説明があってもよかった。多くの人はこの作品をBad Endと捉えるかもしれないが、崩壊した家族に最後に萌した〝救い〟を感じた。

2022/12/16

扉のこちら側

2016年456冊め。冒頭の人工授精や陣痛の現実味がない描写に失笑しながら読み始めたが、物語のプロットはおもしろい。現実でも虐待はきょうだい間で「される者/されない者」の差が出た時により増悪化する傾向があるものだ。麒麟やほかの子ども達を「学校」に引き取る際に、計画の失敗を認めて全ての子ども達へ対処すればよかったのにと思ってしまう。秀才以外の天才の活躍ぶりがほとんど描かれなかったので、後半で反発を受けるまでの間に世間でどのような受け取り方をされていたのかもう少し知りたかった。なんにせよ優生思想は恐ろしい。

2016/06/23

りゅう☆

優秀な精子を売るジーニアスバンク。その遺伝子を引き継いだ我が子を生むために精子を買う女性たち。なんだかな~、厚子が外見だけでなく心も醜過ぎて腹が立つ。優秀だと溺愛し、失敗作と分かると見捨てる。ホントに子供を自分の都合のいい物としか見てないよね。大きな愛情に包まれて三つ子の魂百までかもしれないけど、麒麟の純粋無垢な家族愛もそんなに持続できるものなのか?まぁ、そこは小説と割り切り、嘘っぽいけどこの物語の救いだったのかも。ラストにつれ厚子の存在の薄さだけでなく、内容も薄いのか、あまり切なさは伝わってこなかった。

2016/10/10

納間田 圭

冴えない女が世間を見返すべく天才数学者の〇〇をオークションで競り落とす。もちろんそれは違法。しかしそこは小説…女は計画通り天才を生むことに成功した。一人目で味を占めた女は…兄を超える天才が欲しいと再びオークションに出向く。そして…今度は見事ノーベル賞受賞者の〇〇を手に入れてしまう。その二人目として生まれた弟の名が麒麟。ある意味…昨今の近隣諸国にヤリ込められすぎの虚弱日本への警告本。安閑と弱体化していく日本国民に突きつけられた…作者の痛烈な皮肉。こんなことが本当に…日本を助ける究極の挽回策になるのだろうか?

2021/03/28

優秀であることはそれほどまでに重要なことなのだろうか。天才精子バンクから、優秀な精子として競り落とされ、生まれた麒麟。だが、兄の秀才の様な、母親の望む頭の良い子になれなかった。そのため、母親に見限られ、5歳の時に天才育成施設に入れられた麒麟。それまでは、母親は麒麟を溺愛していた。だが、勉強ができないだけで、手のひらを返した様に邪険にあしらう。どんなに罵詈雑言を浴びせられても、素直な麒麟に悲しくなりました。優秀なところしか見ない愚かさを感じ、それでも優秀でいたいと思う部分もありました。

2016/03/11

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