死刑 (角川文庫)
死刑 (角川文庫) / 感想・レビュー
びす男
死刑存続・廃止の議論は論理では解決できない、というところがこの本の一番大きなポイントだろう。それぞれに確固とした筋を持っている。だから結局情なのだ、という筆者の主張はうなずける。いい線だ。多くの立場の人から話を聞き、誠実な作者だなと感じた。それだけに、最後までかっちりした文で綴ってほしかった。最後はまるっきりポエムだ。情が大切なのは分かったが、要は書き方だろう。情が露になりすぎる文章は、読者を引かせてしまう。「第三者だったんじゃないの」と。少し、もったいないなぁと思ったりする。
2016/08/18
GAKU
著者自身は死刑廃止派である。それは良いとしてもジャーナリストとして、どうもこの著書は公正な目では書かれていないような気がした。一ノンフィクションとしても、あまり面白くはなかった。ちなみに私は”存置派”です。
2019/02/15
鈴
冤罪問題などを考えると、簡単に死刑を肯定してはいけないが、そもそもすべての殺人者が死刑になるわけではなく、極悪非道だった場合に死刑になるのだから、もうそれは死刑になっても仕方ないんじゃないの?と思ってしまう。生い立ちが悲惨だったとして、それは可哀想な人生だとは思うが、だからといって人の命を奪っていい理由にはならないのだから。加害者は生きるか死ぬかを考える時間があるが、被害者は考える暇もなく理不尽に命を絶たれているのだ。
2019/01/11
ねこまんま
死刑制度に犯罪防止力はないこと、冤罪の可能性があること、そもそも国家が人を殺すことなど、理論としての問題点はすでに出尽くしていて、何ら目新しいことは無く、著者が廃止を唱えるのは「彼ら(死刑囚)を殺したくない。彼らを救いたい」という強い思いがわき上がるからだそうです。そりゃ、実際に会ったらきっと普通のいい人なんでしょう。内証を深め、反省する境地に至ったのは死刑が確定し、拘置所でひたすら自分と向き合う時間と空間を確保されたからこそだと思うのです。彼らが偏見だらけの社会の中で、働いて生活をして今後、まっとうに生
2016/03/17
kinkin
死刑ということについて是か非かよりも感情的な部分が先を走っていた自分にとってインパクトのある本だった。まず死刑という制度、執行に至るまでの様子、執行、それがどのようなものか知らないで是非論を交わしているのが今の現状ではないか、死刑について国民はもっと知る権利があるのではないか、犯罪-逮捕-判決-確定-執行-遺族の気持ち-加害者側の受け止め方に冤罪や自白強要、再審、罪、罰、といった言葉が絡み合う難しい問題だと感じた。私が知っているのはあくまでメディアというフィルターを通して得られた情報だということを知った。
2014/08/14
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