マアジナル (角川文庫)
マアジナル (角川文庫) / 感想・レビュー
南雲吾朗
世界の在り方が曖昧になる。 「胡蝶の夢」でもわかるように、人間は昔から境界の曖昧さに気付いていたのだろう。 「我思う、故に我在り」、デカルトの言葉の解釈。存在という概念を改めて考えさせられる。 認識できなければ、存在しないのと同じことである。結局世界は個人の認識により形作られている。 marginal(境界)を改めて考えさせられた作品。
2020/06/23
choike-voike
marginal。限界点とか、ギリギリラインみたいな意味らしい。異世界との境界が、ひりひりするような感覚で描かれている。作者の田口ランディこそ、知りたい欲求を止めない人なんだと、本作でつくづく思った。そしてそれを小説に昇華する手法を選んでいることに、なぜだかとても信頼を置ける気がするのだ。6人の中学生がUFOを呼び、見た者と見なかった者の、当時と17年後。オカルトと言ってしまえば簡単だけど、自分が認識している世界が揺らぐような、忘れていた問いを思い出させるような、力作だと思う。
2013/11/08
*мiкi*
「わたし」が誰か分からない場面が多くて肝心なところに二人いるけどもう一人は誰だろ?とぐるぐる🌀しながら読み終えた😃 あの日みたUFO的な存在は誰しもあるのではないかな
2021/03/17
Hiroyuki Takahata
人は知識を積むことにより、さらに愚かになる。そしてカントのいう、「認識の限界」にいきつく。本書にいう、カオスが秩序をつくるなら。認識とは仮説に過ぎず、実態とは釈迦がいう「空」なのでしょう。能登の古い神社を舞台に宇宙、人類の創生の神秘が描かれてる。
2015/08/31
深海魚
初読の作家さんだけど、実に不思議な読み心地。SF、ミステリ、ホラー、そのどれでもあるようでどれでもない。凄く恐ろしいのに全然恐くないような、どこか懐かしいような、掴みどころのない本。しかし面白い。久々に「読み終わりたくない」と思う本に出会った。傑作。
2014/06/03
感想・レビューをもっと見る