オリガミ (角川文庫)
オリガミ (角川文庫) / 感想・レビュー
あつひめ
愛と言うものに答えがないことを改めて感じさせられた気がする。ただ、愛が存在しないのではなく、人はみな自分が望む表現で表して欲しがるものなのかもしれない。言葉にしてしまったら…心の中の何千億分の一に薄まってしまうような…。見えているものが本当は見えていない。見えていない時の方が見える…。何かの謎かけのような…何かを投げ掛けられたような気がする。
2014/04/12
紅香@本購入まであと9冊
『忘れられず、いつまでも失うことのできないものをきっと愛と呼ぶのだと思う。私の目はそれのみを記憶しようとする』角膜移植の手術後、私にしか見えない彼が現れる。彼は実在する人物なのだろうか。わずかな手掛かりを携えてブリュッセルから東京へ。。瞬きも忘れて見続けたあの人の顔。言葉。仕草。カメラがなくても、この目で見続けたからこそいつまでも引き出せる。それは喜びでもあり虚しさでも恐怖でもあり、私のすべてだ。。桜。写真。オリガミ。生と死。。目を閉じたいのに閉じさせてくれない。視覚に訴える渾身の作品。心、掻き乱された。
2018/09/24
Roko
辻さんが描く風景描写も心理描写も繊細で美しいのです。そして、彼が描く日本の風景は、異国の人の視線のようでいて、故国を懐かしむ人の視線なのだと感じました。ブリュッセルに住むヴァレリーが不思議な幻に惹かれていったのは、偶然だったのでしょうか?それとも必然だったのでしょうか?
2021/03/15
milk tea
角膜の移植手術で光を取り戻した女性は、それを機に不思議な男性の影を見始める。ドナーの魂が求めているのは、かつての恋人なのか…。乙一さんの小説にも同じような現象がありました。移植は自分自身でありながらも、他人との共存⁈ 主人公が幸せだったのかどうかは、私にはわからない。
2016/12/13
ワニニ
美しく、異国情緒たっぷりで、男と女の擦れ違い、観念的な恋愛…と、これまで読んだいくつかの辻仁成ものにはありがちなような設定なのかなと?角膜移植を受けた女性が主人公なのが、物語全体の幻想的な雰囲気を引っ張っているのだけれど、角膜提供者の残像が移植された人に…というのは、何となくよく聞くようなオハナシ。~にしても、私を含め夢見る女性の感覚としては、単純に憧れる世界(笑)。しかし、さらっと終わってしまって、映画かなんかの構想みたいな本だった。
2014/02/13
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