本をめぐる物語 一冊の扉 (角川文庫)
本をめぐる物語 一冊の扉 (角川文庫) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
本とは言っても、多数の物語の素材にするには、ヴァリエーションの難しさがあるだろう。この短編集もその切り口を求めて、実にさまざまな、しかし本とは関係のなさそうな手法も採られている。ある意味それは仕方のないことだろう。「メアリー・スーを殺して」は成長物語としておもしろい。また、「時田風音の受難」もシチュエーションはちがっても、同じように成長物語として楽しく読めた。
2014/04/05
barabara
一つ一つが小さな小箱に閉まっておきたいような、そんな物語が何個も収められている。「メアリー・スーを殺して」は、自分でも遠い昔に覚えのある痛みを思い出させ、「ページの角の折れた本」は、悲しい妄想にいつしかこちらも入ってしまう奇妙なおかしさがある。一番自然に入り込んだ「初めて本をつくるあなたがすべきこと」は、抜群のセンスの上手さに堪能。「駅物語」よりよかった。完
2014/04/05
七色一味
読破。お二方(朱野帰子さんと沢木まひろさん)は初読みの作家さん。8人8様のアンソロジー。どれがいいとは言えない、ハズレのないお話たちです。お初のお二方の作品も、これからちょっと読んでみようかな。アンソロジーは、新しい作家さんとの出会いもあっていいですな^^ オススメです。
2014/04/02
しゅわ
【図書館】『校閲ガール』を読んだ時、このアンソロジーの存在を知りました。タイトル通り、人気作家たちが紡ぐ様々な「本をめぐる物語」集です。雑誌『ダ・ヴィンチ』に掲載された短編を中心に描き下ろしも加え、個性的な8本が揃っていて…ちょっとした空き時間に本の世界にゆける一冊。ゆっくりと楽しみました。中田永一さん、原田マハさん、宮木あや子さんがやっぱり安定の面白さでしたが、宮下奈都さんや小路幸也さんもジワジワきます。初読みの作家さんも多かったので、他の著作も追いかけてみようと思います♪
2014/10/15
佐々陽太朗(K.Tsubota)
『本をめぐる物語 一冊の扉』、なんという蠱惑的な題名なのだろう。本が好きで暇さえあれば書店をウロウロする性癖を持つ人間は十中八九この罠に捕らえられてしまうだろう。さながら本の虫(紙魚)を食べる食虫植物のようなものだ。書店の平台に本書と『本をめぐる物語―栞は夢をみる』が積んであるのを目にした私は、一度は罠に捕らえられてなるものかと通り過ぎたが、後ろ髪を引かれまわれ右をしてしまったではないか。書痴の性と云うべきか。「メアリー・スーを殺して」(中田永一)と「ラバーズブック」(小路幸也)が良かった。
2014/07/17
感想・レビューをもっと見る