夕映え (上) (角川文庫)
夕映え (上) (角川文庫) / 感想・レビュー
のり
幕末期の江戸本所で、一膳屋「福助」を営む「おあき」と岡っ引きの「弘蔵」夫婦。史実にそいながらの市井の暮らしぶりが鮮明に描かれる。二人の子宝に恵まれるが、親として心配は尽きない。嫁に出した娘、官軍の傍若から江戸を守る為に彰義隊に入った息子の「良助」への思いは計り知れない。読む進めながら、こちらも無事を祈る。東北人の為に尚更、会津藩には大いに肩入れしてしまう。不運の重なりにため息です。下巻へ突入。
2017/12/05
shizuka
長編宇江佐さん。とはいえ、一話一話にしっかり起承転結あり、読みやすい。幕末も幕末、薩長側と水戸藩、会津側の均衡、当時の彰義隊の立ち位置、途轍もない臨場感。おあき、主人公の息子が彰義隊へ入隊。これはもう人ごとではない。そこで始まる上野の戦争。ほか瑣末なできごとなんて吹き飛ぶ。とても小さな戦争だけれど、戦力の差は歴然としている。でも戦わないわけにはいかない若者の気持ち。昭和戦前とは少し違う「国を守らなければいけない」使命感。母親も父親も辛い。のんきで平和な江戸じゃない。文明開花への足音。なんだろうこの悲しさ。
2017/05/30
keiトモニ
成程“市井の人々の幕末”ねェ…。仰るとおり。“弘蔵は頗る機嫌がよかった。おあきは弘蔵には鰈の煮付けの皿を差し出した”…こんな時の鰈の煮付けは旨そうで、私も鰈の煮付けには目が無ェんで…。“こんな体たらくで実家に戻るなんて誰が想像できただろう。おあきは込み上げる悔しさを堪えるため何度も唇を強く噛み締めた”…うまく表現されて“おとよ”は、ピン子も吃驚するほど…。「何でしょうね。あの赤毛や白毛の被り物は。異人の真似なんですかね。」梅太郎や浜次さん、いいこと言うねェ…。歌舞いてるんでしょうか。アホかと思いますが…。
2015/01/13
ちょるる
久しぶりの読書。大好きな宇江佐作品だが、中々進まなかった(^-^;コンスタントに 読書される読友の皆さんは凄いなぁ!といつも思います。江戸から明治へという激動の時代を背景に、おあきと弘蔵夫婦が営む縄暖簾「福助」に集まる人々を中心に話は進む。彰義隊に志願した息子の良介のことが心配。ずっと風来坊だったから余計に。いつの世も親の心配は一緒。大丈夫のようにと願う。下巻へ。
2017/10/29
to boy
江戸から明治への変革期、著名人を主人公にした小説は数多くあるが庶民の視線から描いた小説は珍しいと思います。しかも宇江佐さんです。面白くないはずがありません。引き続き下巻に突入します。
2014/04/14
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