家守 (角川文庫)
家守 (角川文庫) / 感想・レビュー
しんたろー
歌野さんの短編集と聞いて興味深々…「家」をテーマにした5つの話…『人形師の家で』はホラータッチで楽しめたが、ミステリとしてはモヤモヤが残った。『家守』も予想通りの結末に落ち着いて納得しつつも物足りない。『埴生の宿』は歌野さんらしいトリックと切なさが漂う雰囲気が好み。『鄙』はトリックに苦しさも感じるが無医村と戦争を絡めた時代設定勝利。『転居先不明』は構成の妙で本作中で一番の出来に感じたが、一家惨殺の真犯人が透けて見えてしまったのが残念。様々な仕掛けで読者を楽しませようとする姿勢は健在で、今後も読みたい作家♬
2019/09/02
ナルピーチ
『家』をテーマに描かれた5話の短編集。家とは本来、家族が寛ぎ団欒する憩いの場であるのに本作では見事に否定され、狂喜が渦巻く場所となってしまった…。マイベストは「転居先不明」格安物件を購入し、東京に引っ越してきた夫婦。過去に発生した一家惨殺事件を絡めて読ませる話に最後までドキドキ。結末はまさに“口は災いの元”と言える内容、夫に同情の余地なし。奥さんを怒らせるのが一番の恐怖である事を身を持って知れたと思うが時すでに遅しか。他4作もホラーあり、イヤミスありと一気読み必至の一冊。
2021/10/27
ちょろこ
家ミステリの一冊。家を舞台に描く五つのミステリ。雰囲気、トリック、どんでん返し、納得感、全て満足。最近特殊ミステリが多かっただけにオーソドックスな面白さが良かった。表題作「家守」のトリックになるほど…こんな殺害方法も有りかと妙に納得感。そして予想外の真相になるほどとまた更なる納得感。「鄙」は一つの村を"家"に仕立て上げているところが巧いし、こういう村の雰囲気は好きだ。一番どんでん返しを味わえたのは「転居先不明」これは家に帰りたくなくなる。予想外のラストは納得のオチ、ざまあみろ。
2021/04/07
とん大西
最近ちょいちょい読友さんのレビューでみかけるので借りてきました。不穏が不穏を呼ぶ裏切らない着地点。どの短編もわかりやすい設定ながら丁寧な仕掛けで面白く読めました。どんでん返し…というよりはおそらく…だろうか。そんな予想を補完してくれる表題作「家守」がお気に入り。愛憎も哀愁も全て霧消し、忘却の彼方へ…てな読み味がすこぶる嫌ミス的です。
2021/04/29
ベイマックス
5作の短編集。謎が提示されて、物語を追うと推理が頭に浮かんで、似たような感じで物語上も推理が展開されていく。だけど、さらにひとひねりが待っている。◎刑事物や警察物ではないから、逮捕が結末ではなく、人情噺的なところもあって、またそこがいい味で、面白味を増している。
2021/04/22
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