ダブルギアリング 連鎖破綻 (角川文庫)
ダブルギアリング 連鎖破綻 (角川文庫) / 感想・レビュー
W-G
久しぶりの真山作品再読。著者の作品の中でも実はかなり好きな方。話の内容としては、実は1ページ目からすでに破滅は確定しているような状況の中で、特に何も好転せず、主要人物に自分を重ねて、周囲への空虚な誤魔化しに、ともにストレスを感じて重たい気分を味わいましょう的なもの。ただ、ラストの各務の台詞でグッと来てしまい、お気に入り度が急上昇した。現実の事件の方はもうほとんど記憶も残っておらず、そちらを意識した読み方はしなかったが、完全なフィクションだとしてもちゃんと面白い。
2019/09/10
小説を最初に書いた人にありがとう
バブルから不況までの生保企業を舞台にした経済小説。しかし、単に経済だけではなく、働くとは?友情とは?家族とは?等々色々な切り口で人生を考えさせられた。真山作品が好きでいろいろ読んできたけど、たいていが登場人物がプライドを持って仕事をしているところに惹かれるし憧れを感じる。こんな風に働いてみようかな。
2015/01/15
佐島楓
生命保険会社の内情に切り込んだ経済小説。真山さんの幻のデビュー作ということからか、キャラクターは弱く、女性の心理描写など細かい技術的なところがいくつか気になったけれど、この世界が狐狸の化かし合いだということは伝わってきた。これほど悲しい生き方しかできない人間もいるということか・・・。
2015/02/09
kotte
真山仁さんのデビュー作です。破綻寸前に追い込まれた大手生命保険会社、清和生命で働く「人」にスポットライトを当てて書かれた本です。500頁越えのボリュームを感じさせず、一気に読めます。生命保険会社の裏側は全く知りませんが、本書に書かれているような契約者と生命保険会社の利害相反はありそうですね。会社組織を採っている以上、利益を出すことは重要なのは理解できますが、コンプライアンスは守るのが前提での利益です。本書で書いている時代は抜け道を探して儲けるのが当然だった、なんでもありの時代だったんでしょうね。
2017/03/10
だいきょ
経済小説は大好物だけど、生保を舞台にした話は初めて。二章から俄然面白くなった。真山さんがこの翌年にあの「ハゲタカ」を出したと聞き納得。本作も死に体に追い込まれた企業のヒリヒリした感じが伝わってくる。舞台となる清和生命には実に多くの人間がいるが、半沢直樹の配役に近いキャラが大勢いることに気が付く。金融機関の魑魅魍魎の構造は似ているのか。清濁併せ呑みつつ高潔なトップ高村に惹かれる。岩倉専務はかつての上司を思い出して苦笑。ラストはサドンデス的で呆気ないが自身で幕を降ろせたのは爽快。それにしても闇の多い世界だ。
2015/02/15
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