佐和山炎上 (角川文庫)
佐和山炎上 (角川文庫) / 感想・レビュー
如水
9篇からなる短編集。時代背景は戦国から幕末迄バラバラ。一番面白かったのは題名の通り『佐和山炎上』関ヶ原直後の石田家、及び佐和山城の様子が描かれてますが、佐和山城を詳しくそして短編で書かれた方はいないんじゃ無いか?と思う位佐和山城について詳細が分かる内容になってます。文体は…其々好みがあるからなぁ…もし読みやすかったら、同作者『冬を待つ城』をオススメします👍
2019/07/30
ウィズ
等伯で直木賞を受賞された安部先生の作品連作短編集です。歴史にタラレバは禁物ですが、どの物語の主人公も、もし違う時代に生まれていれば全然違う人生があったんではないかと考えざるを終えないお話ばかりでした。時代という怪物の恐ろしさを改めて思い知らされました。
2015/05/17
maito/まいと
安部さんは文調が作品ごとにガラっと変えるのでおもしろい。短編集だとそういう良さが出るから、アンソロジー感覚で読み進められた。その反面馴染みのない設定の作品は入り込むのが難しいなあ、読み手の問題かもしれないが・・・
2017/09/12
北之庄
安倍龍太郎の短編集たる本作は、戦国から幕末迄の期間を多彩な切り口の9篇で描く。ひとつひとつが、あっと驚く登場人物や仕掛けが凝らされており飽きさせない。表題作もなかなかの味わいですが、天下無双の関取、雷電為衛門の関脇時代を描いた作品に登場する、色白で鼻が高い、大柄な同い年の恋女房は、なんと佐倉市臼井の甘酒茶屋の娘なんだって!ホントなら訪ねてみたいものです。
2016/05/31
ryohey_novels
室町から幕末までの短編7作。強く惹かれた話はなかったが、『伏見城恋歌』『佐和山炎上』は良作。前者は、木下勝俊と京極竜子の恋を描いた作品。秀吉の妻となり恋心を忍ぶしかなかった竜子が勝俊への返歌を細川幽斎に託し、それを知らない勝俊がその歌に心惹かれるという設定が奥ゆかしい。後者は石田三成の息子・八郎と側近・八十島庄次郎の友情。死地を前に庄次郎を信じて待つ八郎の、『戦国策』の「曾参の母」(息子の無実を信じていた母でも何度も疑われたら杼を投じて飛び出して行った)を引用した「杼を投じないと信じていた」の言葉に感動。
2024/07/29
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