黄泉坂案内人 (角川文庫)
黄泉坂案内人 (角川文庫) / 感想・レビュー
*すずらん*
異界に迷い込むという、夏に合わせた不思議系のお話かと思いきや、生きる事・死ぬ事とは?という大きなテーマを掲げた作品でした。私は今死んでしまったら、マヨイダマにならない自信はありません。きっと速人や彩葉の手を借りてしまう事でしょう。その時の未練は何なのか…そう考え思い至ったのは、やはり名前でした。私が産まれて初めて貰ったプレゼント。私が存在する証。私の呼び名。それをもう一度呼んでほしい。ちゃんとここに居たんだと、確認したい。すずらんではない、私の本当の名前を呟きながら、今日は実家に電話をしようと思いました。
2014/07/31
まこみん
この世の未練が強すぎて、黄泉への長い坂を登れなくマヨイダマになってしまうのを防ぐ手伝いをする事になった速人。速人自身、会社を潰し、タクシードライバーとして失意の生活を強いられていた。現世の裂目に落ちたという入日村で、大きなかぐつちを持った大阪弁の少女、彩葉と共に魂を救う話が「ねこのこ」「銀河に乗って」「空手形」特攻隊の無意識の中の未練の話が特にジンときた。その先、「山崩れ」玉置さんという村の神様の未熟さが可愛い。「かぐつき」入日村の不穏さが漂い、彩葉の危機に村長は冷やかな態度。速人の取った行動は!
2020/04/10
ままこ
タクシードライバーの速人が迷い込んだのは妖も闊歩する不思議なうつし世とあの世の狭間だった。元の世界に戻れるまで神具かぐつちを持つ彩葉と共にさまよう魂を救う仕事をするようになる。心温まる魂救いの話と妖達とのやり取りは微笑ましかったが後半は利己的な理由による怒涛の展開で葛藤の末の決断が切ない。真摯な願い事であっても皆が幸せになる事は難しいな。現実的な厳しさも入り混じったファンタジーだった。その後が気になるので続編は機会があったら読んでみよう。
2017/08/29
扉のこちら側
初読。2015年935冊め。今生に未練を残してきた人たちの話というわりには、なんだろう、日本昔ばなし的な雰囲気だからか、悲壮感がないのが不思議だった。その分、最終話の切実な雰囲気は良かったが、結末はちょっと予想外だった。
2015/08/05
hirune
タクシー運転手の速人が迷い込んだのはこの世とあの世の狭間にある村で、未練を残す魂を導いて成仏させる仕事をしているところ。妖怪や神様たちは親しみやすくて可愛いし、死んだ人の執着をなくさせるために色々講じる手段も面白かった。私が渡されるとしたら 引導のカタチは一番好きな本かしら、それともオカメインコの冠羽だったりして?最後に村では天変地異的大騒動になり、妖怪たちと共にラスボスと戦う羽目に(^◇^;)速人みたいな 諦めの悪い分からず屋じゃないと この結末には辿り着けなかったですね☆最悪の結末ではなくて良かった☆
2017/12/10
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