眺望絶佳 (角川文庫)
眺望絶佳 (角川文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
プロローグにスカイツリーからの往信、そしてエピローグには東京タワーからの返信。間には、東京を舞台にしたちょっと不思議な8つの短篇といった珍しい構成をとる。オスマンの大改造で美しく整ったパリのようではないけれど、なんだか雑然・混沌としたところもあちこちにあるけれど、無機質でつまらないビルもいたるところにあるけれど、それでも(あるいはそれ故にか)東京は魅力的な街である。本書は、中島京子が正攻法ではなく語る東京讃歌である。私はといえば、自分の年齢からも、もろ手を挙げて東京タワーのノスタルジーを支持します。
2022/01/28
ミカママ
ふむふむ、なんだかちょっと不思議でモヤモヤする短編集だなぁと思いつつ。ラストの東京タワーからの書簡で、ストンとモロモロが納得できるような。中島さんて、独特の雰囲気をもった作品を描かれる方だなぁ。読み終わってすぐ、読み返して確認したくなるような短編集でした。
2017/03/28
さおり
中島京子さんは前に1冊読んで、向いてねーなと思ったのに、なぜだかまた積んじゃって、何度もちょっと読んでは気分じゃねーなと思ってまた本棚に戻して、なんてことをしてたんだけど、今回は気合い入れてなんとか、やっとの事で最後まで読んでみました。で、向いてねーなと思いました。薄い短編なんだけどねー。これはもう、私が悪いんだと思う。不思議なお話たちで、これを楽しめるだけの心の余裕というかひだというか、そういうのが足りない、私が悪い。
2016/11/05
いたろう
スカイツリーから東京タワーへの手紙(!)と東京タワーからスカイツリーへの返信の間に挟まれた、8編の短編集。冒頭のスカイツリーが書いた手紙の中に、スカイツリーが、高いところからいろいろなものを見ていると書いているが、してみると、これらの短編は、それぞれ、スカイツリーが、高所から覗き見ていた話、といったところなのだろうか。そんな中でも、特に、化けることを仕事にしているたぬきの兄弟が、おばあさんの亡くなった夫に化けてあげる、「よろず化けます」と、ちょっと不思議な建物が出てくる、「今日はなんだか特別な日」が好き。
2024/08/30
キムチ
賛辞として、筆者の巧手に拍手。いつか見たCMの画面のような♪東京タワーVSスカイツリーが語る足下の四方山はなし。笑い、涙、いっちょかみ、こすっからさetc。だからと何なんと言う話しもあったりで筆者が緩急自在に手の内をさらす感じ。スッキリしない感が大半なのは作戦かな。「キッズのための…」は折から続くヤンママ事件がかぶり…リアルに読めた。
2015/12/01
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