落花流水 (角川文庫)
落花流水 (角川文庫) / 感想・レビュー
さてさて
『根拠など何もないのに、いつかはいい仕事にありついて、いい人と結婚して幸せな家庭をもって、望んだ通りの生涯を送れるものと何故思っているのだろう』。私たちそれぞれの家庭が置かれた環境は異なります。それぞれの人生は一様ではありません。この作品では『幸せを感じたり不幸だと嘆いたり、いろいろな感情にしたがって生きて』きた手毬の60年の波瀾万丈な人生を見ることができました。”物事の衰えゆくこと”を表す「落花流水」という書名を冠したこの作品。読み終えて、幸せな人生とはなんなのだろうか。ふとそんな風に感じた作品でした。
2021/11/17
aoringo
一人の少女とその周りの人達の複雑な人生。家族だったり恋人だったり誰かの愛情を求めずにはいられない。そしてあんなに欲しかったのに手に入れると逃げたくなる。結構パンチが効いていたけど後味は悪くなかった。どこまでも闇堕ちしておかしくないのにギリギリのところで救いがあるのは、自転しながら公転するに繋がる気がする。落花流水をググってみました。「物事の衰えていくこと。時がむなしく過ぎ去ること。また相思相愛の状態」まさにまさに!タイトルが全てを物語っていた。
2022/11/27
ゆいまある
一人の女の一生をノンストップで駆け抜ける爽快感。壊れた家に産まれ、やっと堅実な暮らしを手に入れたのに、幼馴染みの精神が不安定なイケメン(ハーフで金髪碧眼ってかなり珍しいよね)と一緒になりたくて全て捨てる。残された家族は滅茶苦茶に。でもいいの。私が幸せだからいいの。え?ホントに幸せなのかな。そんなこと考えない。好きになったら失踪を3代繰り返す女達。女という抑圧が大きいから尚のこと、欲望は解き放て。家庭なんか壊れろ。惚れたら我慢しない。たっぷり詰まった毒。ああ、堪能した。KindleUnlimited
2024/04/29
kei302
KindleUnlimited ◇ 歳を取ってからのほうが味わえる作品がある、そう思わずにはいられない作品。 1999年に出た本。37歳の文緒さまが描く「花は散り水は流れ去る」女たちのありよう。 住まいはどこかと孫に尋ねられ、今は男のところにいると答える84歳の律子さん、格好いいです。文緒さまにも、こんなふうに格好良く年をとてほしかった…
2022/01/18
olive
自分の居場所はここではない。明日はのことがわからないのなら...思うままに生きようと、夫も娘も捨て出奔する女性の一代記物語。逞しく生き抜く女性の一生を描くといえば朝ドラ。朝ドラもびっくり!朝ドラの逞しさと潔さの斜め上をいく!?やっぱり山本作品だわ。一筋縄ではいかないよん。愛のすばらしさや愛おしさではなく、愛の無情さに魅せられた一冊でした。
2022/02/26
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