KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

ザ・カルテル (上) (角川文庫)

ザ・カルテル (上) (角川文庫)

ザ・カルテル (上) (角川文庫)

作家
ドン・ウィンズロウ
峯村利哉
出版社
KADOKAWA/角川書店
発売日
2016-04-23
ISBN
9784041019665
amazonで購入する

ザ・カルテル (上) (角川文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

W-G

かなりのボリュームにも関わらず、一気に読まされ、むしろずっと終わらないで欲しいとすら感じる。『犬の力』から大きくスケールアップし、登場人物の数も死者の数も、凄いことになっている。その分、政府/警察/カルテルの組織名と、誰がどこに繋がっているのかを把握するのも一苦労を要する。カルテル側が煩雑すぎて、アダンがそこまで強大な存在に感じない時もある。まだ上巻ではケラーもそこまで存在感を発揮せず、エディやチュイといった気になる伏兵が物語を盛り上げる段階。これが下巻でどう収束していくのか、期待値は高まるばかり。

2018/04/29

遥かなる想い

2017年このミス 海外第2位。 「犬の力」の続編らしいが、麻薬をめぐる 暴力の連鎖は凄まじい。 麻薬王アダン・バレーラの存在感が際立って おり、その世界は奇妙に小気味好い。 アダン・バレーラと捜査官アート・ケラーの 宿命の対決は下巻のお楽しみ。

2016/12/30

みも

『犬の力』続編。前作で麻薬取締局捜査官ケラーの執念により捕縛された、麻薬王アダンが5年後に脱獄。宿命的な二人の対峙は一本の軸としてブレないが、二人の周囲には新たに個性的な人物達を配置して物語を膨らませる。政界、軍や警察と麻薬組織との癒着…そして腐敗。メキシコ国家に蔓延る伏魔殿の如き社会の闇…凄惨と華美が表裏一体で存在し、その一方で人道を踏み外さざるを得ない貧民窟の絶望がある。「メキシコで殺されたり消えたりしたジャーナリスト」として、冒頭3頁半に亘り連綿と記す姓名が只事ではない実状を告げ、読者に覚悟を促す。

2021/03/25

Tetchy

まず冒頭の著者による前書きに戦慄する。延々3.5ページに亘って改行もなく連なる名前の数々。本書を著すに当たってウィンズロウに協力した人々の名と思いきや、驚愕の事実が判明する。前書きの段階で私はこれから始まる物語が途轍もない黙示録であると想像した。複数のカルテルをアダン・バレーラとセータ隊の二大勢力が統合していく凄まじい闘争の物語だ。日本の戦国時代と同じ構図だが、それが生易しく思わされるほど、内容は凄惨極まる。社会を回しているのは司法か、麻薬カルテルか。単純に正義対悪では割り切れない複雑な社会の構図なのだ。

2016/11/23

藤月はな(灯れ松明の火)

『犬の力』で影で暗躍していたケラーとアダンのその後。愛娘の死に目に会えなかった事から脱獄し、ケラーに賞金を賭けたアダン。貧困と搾取、欲を叶えるための凄惨な暴力に対する復讐が、新たな暴力と報復を生み出していく。メキシコによる麻薬戦争を制圧しようとするもドラックやそれによる利益を貪り続けるアメリカ。だからこそ、その体現者たるケラーはメキシコ人に糾弾される。そして両者の巻き添えになってしまった庶民がイエス・キリストの名を渾名に戴くチューイ。彼の短い人生の間に起きた悲惨さに絶句。

2017/07/26

感想・レビューをもっと見る