虚栄
虚栄 / 感想・レビュー
いつでも母さん
国家プロジェクトG4。案の定4つの大学の利権争い・予算のぶんどり合戦・大学内での足の引っ張り合い・・そして、国のトップの個人的な病に対する不安。約500ページの2/3は久坂部羊の描く『癌医療に思う現状』かと、半ば確信犯的な思いでイライラしつつラストまで乗り切った。まさしく『医学の虚栄』だ!医学が進歩したとはいえ、わからないことだらけなのだ。早期発見でも治らないもの、そのままにしておいても進行しないもの。これが天の配剤・『寿命』なのだ。この作品でも、医師作家としての久坂部羊の凄さを見せつけられた。疲れた・・
2015/10/27
それいゆ
ここ数年、帚木蓬生や海堂尊の医療小説がつまらなくて癖壁していました。久坂部洋作品は「神の手」に続き2作目ですが、どれも期待以上のできです。「虚栄」は、最初のプロジェクトG4のそれぞれのグループの紹介のような話が次々と登場するあたりでは、これが最後までずっと続くとなると読むのがしんどいなあ!と危惧したのですが、患者や医師たちの具体的ながんの話になったとたんに俄然面白くなってきました。500ページ近い長編ですが、自分が患者になったかのような錯覚に陥りながら一気に読了でした。
2015/10/23
キムチ
強烈に読み応えのある作品、期限に追われて読んだのが大失敗。じっくり読むべきでした。筆者の脳裏には現実日本の政治と医療の癒着❓束帯が図式化されているのでしょうか、揶揄ってペンを運んでいるのが読める。泡の如く種々のタイプのDrが自信満々に、野心に満ちて、理想に燃えて登場する。どう収斂していくのかを追うだけで精一杯。メモに取って読んでも枚数が増えるふえる。ラスト、赤崎の自殺からはほぼ着地が見えてきた。医学の虚栄、ジャーナリズムのそれ等々珠玉のような言葉が連なる(やや手垢が付いているけど)雪野、北沢のあり様に安堵
2015/11/16
R
小説の形を使って、現代医療におけるガンを取り巻くものを描いた本でした。確かに小説で、話も面白いのだけども、ガンにまつわる様々な利害関係や、接し方を全て網羅することが目的とも思われる登場人物たち、そして、こなされるように発生するイベントに、なんとも違和感を覚えてしまった。とはいえ、ガンに関して知らないことがこんなに多いのかと驚き、タイトルのとおり医局に漂う政治劇なんかもあって興味深く読めました。
2016/04/05
ちゃこばあ
医学会も政界と同じで、己の利権追求とそのための陰謀ばかり、国民無視のあまりのひどさに憤慨しきり…って物語なんですけどね。でも最後の一文がグサッときます!ここは物語を超越して言いたいことですよね、久坂部先生!!!素晴らしい良書でした!
2015/12/15
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