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七色の毒 刑事犬養隼人 (角川文庫)

七色の毒 刑事犬養隼人 (角川文庫)

七色の毒 刑事犬養隼人 (角川文庫)

作家
中山七里
出版社
KADOKAWA/角川書店
発売日
2015-01-24
ISBN
9784041020463
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七色の毒 刑事犬養隼人 (角川文庫) / 感想・レビュー

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黎明卿(禍腐渦狂紳士タッキー)

【世の中には完全な善人もいなければ完全な悪人もいない。いるのは騙す者と騙される者だけです(犬養)】シリーズ第2弾。身近に潜む人間の悪意を毒に例え、七つの色に分けられた短編を収録。〝切り裂きジャックの告白〟を読んで感じたのですが、中山先生はただ事件解決だけでなく現実社会に存在する問題にもメスを鋭く入れ込むためとても勉強になる。今回も汚染物質や学校のイジメ、保険金殺人やホームレスへの暴力などが内容に含まれ、そこに垂らされる悪意の毒、衝撃的なオチが最高。特にイジメを必死に隠蔽しようとする教師陣が滑稽過ぎた。

2019/06/05

SJW

「切り裂きジャックの告白」で活躍する刑事犬養隼人が主人公の7つの短編集。7色が各々の短編の題名につけられているが、虹を意味しているわけではない。どのストーリーも読者の裏をかいて驚かせるものばかりで短編といえども質の高いミステリーに仕上がっている。読んでいくと騙されないぞと思いながら、意外な展開を推測すると、さらにそれ以上の意外な展開になってしまう。また事件も実際にあった事件をテーマにしているので引き込まれやすく、世の中の不条理を上げて的確な批判をするところが痛快で胸がすく。

2018/01/26

夢追人009

女に弱いが男には滅法強く付いた渾名が「無駄に男前の犬養」という刑事犬養隼人の名推理を描く七色の題名に彩られた傑作短編集。『赤い水』高速バス激突事故に隠された苦い真実。『黒いハト』虐めを苦に自殺した少年を追い詰めたのは誰?『白い原稿』芸能人ヘボ作家の死を巡る醜悪な一幕。『青い魚』独身中年男と兄妹の水面下の攻防。『緑園の主』悪ガキ学生とホームレス男と認知症婆さんの狐と狸の化かし合い。『黄色いリボン』居ない筈の妹に心と体を奪われると怯える女装少年の幻想と真実のドラマ。『紫の供花』「赤い水」事件に漸く幕が降りる。

2018/08/17

イアン

★★★★★★★★☆☆「色」にまつわる7つの事件を扱った刑事犬養隼人シリーズ第2弾。バスの長時間運転・性自認・老老介護といった社会性のあるテーマを盛り込み、どんでん返しで落とすという中山七里のエッセンスが凝縮された短編集。もう一つのキーワードである「毒」についても、凶器としての毒物以外に「心に巣食う毒」「毒親」など、随所にその存在感を感じる。無駄に男前で、男の嘘はたちどころに見抜く一方で女の嘘にはすぐ騙されるという犬養のキャラも面白い。「再犯率」と「再犯者率」を取り違えている記述があったのは少し気になった。

2022/03/27

るーしあ

短編集。どの短篇も高いレベルにあり、タイトル通りの毒を合わせ持つ。期待を裏切らない作品集に仕上がっている。中山七里は短篇も面白い。ちょっと意外だ。「白い原稿」のモデルはおそらく最近目にしないあの俳優なのだろう。過激な内容だけに、どういう小説だったのか逆に読みたくなってくる。もちろん買うつもりはない。導入部「赤い水」と締めくくりの「紫の献花」の構成も絶妙。一番のお気に入りは「緑園の主」。各編、短いが読後の充実感がある。これほどの短編集にはなかなか出会えない。

2015/08/11

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