この日のために (上) 池田勇人・東京五輪への軌跡
この日のために (上) 池田勇人・東京五輪への軌跡 / 感想・レビュー
藤枝梅安
64年東京オリンピック。「この日」のために命を削った二人の人物、池田勇人と田畑政治を中心に描かれる昭和史。上巻は池田の生い立ちから大蔵大臣までの道のりと、戦前・戦後の日本の有様を回顧する。昭和31年生まれの私にとってはかすかな記憶しかない出来事が多いが、激動の時代に苦労した庶民の姿は両親を見て知っているつもり。この歴史・経済小説は、政財界の動きを追っているが、一般市民の生活への言及が少なく、小説としての面白みに欠ける面もある。次の東京オリンピックに向けて、同じような騒動が繰り返されるのだな、と複雑な思い。
2016/10/19
ナミのママ
名前と大まかな功績は知っているものの、人となりは知らない池田勇人氏。そして映像・画像でしか知らない東京オリンピック。古い人の伝記は苦手かも、と読み始めてみたら、とても読みやすかったです。戦後のアメリカとのやりとりも面白い。幸田さんの文章力、詳しくない私にもわかりやすく書かれています。暗澹として、グレイがかった時代が、怖くもあり、魅力的でもあります。下巻へ・・・
2016/05/29
ゆみねこ
興味深いタイトルにひかれて手にしましたが、中々乗れません。ようやく読了。感想は下巻で。
2016/06/22
けぴ
池田勇人の戦前から戦後にかけて難病を乗り越えて官僚となり、さらに政治家となり、周囲の軋轢にめげない頑張りが描かれる。田畑政治の水泳を通した日本のスポーツへの貢献、更にまぼろしの東京オリンピック招致への頑張りも平行して描かれる。無駄のない息つく暇のない展開は幸田真音さんの真骨頂。下巻へ!
2020/03/15
まつうら
日本に初めてオリンピックがやってきたのは昭和39年で、この一大イベントにあわせて首都高速とか新幹線とかが開通したことは教科書にもある。しかし、遡ること昭和15年、まだ戦時中だった時代に、幻に終わった東京オリンピックがあったことは知らなかった。当時の国力では、たとえ戦争がなくても、オリンピックの準備をするのは困難だったろう。なのに軍費拡大の流れの中で、オリンピック工事の予算が削られていく。当時IOC委員だった柔道の父、嘉納治五郎が無念のすえ病に倒れてしまうことに、戦争への憤りを隠せない。(下巻に続く)
2022/08/15
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