かなしみの場所 (角川文庫)
かなしみの場所 (角川文庫) / 感想・レビュー
いつでも母さん
もし・・誘拐された過去があったら、その後の人生を私はどう生きただろうー『誘拐』とイメージするだけで暗かったり悲しい話かと思うが、これは大島さんが紡ぐ優しい物語だった。大島さんの文章表現は痒い所に手が届くようで、その後そっとさすってくれるような・・・そんな感じなのだ。人生にはいろんな『別れ』があるよね。受け止め方は身内であっても違ったりもするけれど、ここの「天使の叔父さん」に再び会いたいと動く果那の変化が心地いい。そして、【錦紅堂】の和菓子が気になってしょうがないのだった(笑)
2019/07/10
はる
離婚して実家に戻り、雑貨を作りながら静かに暮らす主人公。彼女には幼い頃、誘拐された記憶があった……。あらすじだけだと何だかとても不穏で切ない感じだけれど、作者の大島さんは悲しみも葛藤も描かない。周りの人たちとのやりとりはのんびり長閑で楽しささえ漂う、何とも不思議な穏やかさ。現実感に欠けるフワフワした世界に身を委ねる。タイトルと表紙のイラストが似ているせいか、吉本ばななさんの「哀しい予感」を思い出した。
2019/04/08
くろにゃんこ
幼いころに誘拐された記憶を持つ果那は真相を気にしつつ、雑貨を作りながら暮らしている。雑貨を置いている梅屋のみなみちゃんとの真面目ながらもほのぼのとした会話が心地よく、好きなことを仕事にできて、周りには良い人ばかりだしですごく幸せそうに感じるのでちょっとタイトルに違和感が(^_^;)やがて分かる誘拐の真相も微笑ましい感じ(母親としては大変なことながら)だし、美味しい和菓子が食べたくなるやすらぎ系のお話でした。
2015/05/24
ぶんこ
幼い頃に誘拐されて、結婚してからも誘拐の時の寝言を言う。それを夫の聞かれたからと離婚に至る。辛い体験のトラウマか?家族が昔の出来事を内緒にするのって、完全に秘密にできず、子どもにとっては却って知りたいと悩み苦しむようで、果那さん、みなみさんが気の毒になりました。親にとっては子どもの為なのでしょうが。みなみさんは持てる力を出し切って前に進むカッコよさがあって爽快。果那さんには少ししか共感できなかったのが残念。これからなのかな。
2018/03/10
えりこんぐ
この方のお話は、面白いか微妙なのかな〜とやや思いつつドンドン読み進めてしまう不思議な魅力。幼い頃の誘拐、寝言に話しかけられて?の離婚。主人公の行動は捉えどころがないけど、梅屋の奥の部屋では寝てみたい。【積読109】
2023/12/22
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