この闇と光 (角川文庫)
この闇と光 (角川文庫) / 感想・レビュー
青乃108号
主人公は目が見えない。だからこそ成立した物語。海外の小説を和訳したかのように語られる前半の狭小な世界観の構築は見事だし、その世界観に少しずつ違和感を感じさせながら突然一気に崩壊させるところも衝撃的で素晴らしい。結末まで一気に読ませ、冗長なところもない。ただ一点残念なのは、結末がやや中途半端な印象であり俺の好みではなかったかな。「嵐が丘」がもう一度読みたくなったよ。
2021/09/04
nobby
これは読み友さんのアドバイスのまま“予備知識無し”で読めて正解!幽閉されている盲目の王女レイア姫に差し迫る様々な危険や恐怖、それを守りながら学をも授けていく王である父。これを中世ヨーロッパを思わせる雰囲気の中、芸術への誘いや視覚に頼らない描写を混ぜながら魅力的な世界観に導かれる。それが中盤から正に世界がひっくり返る様はお見事!“闇”と“光”この対比の描き方がなかなか深い。とにかく多くは語るまいが、一言にすれば「間違いなく面白い」
2016/01/05
勇波
初作家さんです。前々から気になってました。俗物過ぎる自分には美しすぎる内容です。情景描写の美しさだけではなく、ミステリとしても評判通りの作品ではと。。解説が皆川博子さんというのもとってもいいです。是非とも全作品読破したい作家さんがまた見つかりました★
2016/01/14
小梅
読友さんオススメ本。前半は盲目の王女レイアと同じく闇の中で想像する美しい情景や恐怖。中盤からはイッキ読みでした。読みながらイメージしていた情景の崩落。素敵な作品に出会えて感謝です。
2017/11/16
徒花
おもしろかった。盲目の姫君・レイアが王や側近の女性との交流を描いていく物語。いわゆるどんでん返し系の物語だが、一発芸人のように瞬間で終わってしまうのではなく、何段かの驚きを順番に読者に提供しているところに技量の高さを感じさせる。ただ、やっぱり最後の解釈を読者にゆだねるような終わり方はちょっとモヤモヤするので好みじゃない。
2017/05/21
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