蜜の残り (角川文庫)
蜜の残り (角川文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
他人には言えない恋愛をしている彼女たちの物語。不倫だったり、同性同士だったり、あるいは恋愛とも呼べない関係だったり。それでも彼女たちは幸せだし、自分の生き方を否定したりしない。初読みの加藤さん、小説、短歌、詩、とスタイルにこだわらない創作活動をされているそうで、各短編の末尾に添えられている短歌が、秀逸。「ただ強く思ってみたい まばたきも息も忘れてしまうくらいに」。追いかけたい作家さんをまた、見つけてしまった。
2021/04/13
おしゃべりメガネ
我ながら意外にも初読みだった加藤千恵さん作品でした。過去にもしかしたらオムニバスで読んでいるのかもですが、1作まるごとは初めてだったんですね。以前に確か雑誌『ブルータス』か何かで取り上げられているのが気になり、いつか読んでみようと思っていて、先日ブックオフで見かけてやっと手中にし、読了となりました。とにかく最初から最後まで、あらゆる‘性の戯れ’が描かれております。しかし、とても読みやすく、下品な仕上がりでもなく、当然官能小説ともまた違った世界を生み出しているのは、やはり作者さんの手腕によるんでしょうね。
2016/05/07
❁かな❁
加藤千恵さんの作品を読むのは7作目。7編の短編集で歌人の加藤さんらしく1編に1つ短歌が書かれていて、お話の最後に短歌が書かれていてそれがいいです*私が読んだ加藤さんの作品の中では今作が一番、性を描かれていたと思います。どの章も甘く幸せな恋のお話ではないですが、こんな女の子いるだろうなと等身大に感じました。「特別にならない」の安田くん良かったです♡「靴下を履いて眠る」「門限のない日に」「すべてオールぜんぶ」など先の見えない恋愛ですが今この瞬間大好きな想いが伝わり切なかったです。それぞれの短歌とても良かった。
2015/06/26
masa@レビューお休み中
余韻がない。感傷もない。まるで、事実だけを突きつけられたレポートのように、彼女たちの恋愛が報告される。どこか、世間とはちがう、普通ではない恋をする女たちの七つの物語がここには揃っている。普通ではないし、異常とすら思える関係性がでてくることもあるのに、あまりにもサラリと乾いている。それは、もしかすると、女性特有の現実的な主眼があるからなのかもしれない。恋する切なさも、トキメキも、ここにはあるのに、やはりどこかで現実の世界を冷静に見ている怖さがあるのだ。
2015/04/02
馨
本作の加藤さんの描く恋愛はやや大人め。で、例のごとく報われないとか完璧ではないとか、ワケアリの関係のカップル。加藤さんの恋愛小説はよくぞ毎回ネタが尽きないなぁと思います。『特別にならない』の主人公だけ妙に共感しました。
2015/02/14
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