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夏の災厄 (角川文庫)

夏の災厄 (角川文庫)

夏の災厄 (角川文庫)

作家
篠田節子
出版社
KADOKAWA/角川書店
発売日
2015-02-25
ISBN
9784041028124
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夏の災厄 (角川文庫) / 感想・レビュー

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ミカママ

「夏の」というからには旬のうちに手に取らねば、と今回の旅のお供に選んだが、何しろ読むのに時間がかかった。いわゆるパンデミックもの。インドネシアの離島で島民が伝染病で死に絶えるさまから始まるストーリー。その後舞台は日本に移るわけだが、最後までその不気味さは変わることがない。日本脳炎に似たこの伝染病は人為的に広められたものなのか。著者の取材力に感嘆するも、いかんせん長かった(長すぎた)。

2023/07/21

みも

他の篠田作品に比して些か情緒には欠ける気がするが、この作品ごとの書き分けの妙技こそ、著者の見識の広さ、懐の深さ、また力量があればこそか。本作はパンデミック作品ではなく、その手前のエピデミック。それ故大袈裟にならず適度なリアリティを保持する。もっとも、局地的流行終息の後、パンデミックへの示唆を布石として締め括るのだが…。徹底した悪人も、非の打ちどころのない正義漢も登場しない。隠蔽された謎を究明するのは下っ端役人気質の保健センター職員他、現場の医療従事者達。それぞれがそれぞれの役割の中で、使命を見出してゆく。

2020/04/20

rico

最初は「点」だった。その意味するところをはかりかね、もたもたしている間に、災厄は容赦なく広がっていく…。え、これって、今起こってること・・・?埼玉郊外の街で発生した、謎の日本脳炎との戦い。ヒーローもヒロインも出てこない。恋愛要素皆無。ぼやきながらも奮闘する普通の公務員や医師や看護師たち。希望的観測による誤った判断の連鎖。危機感なく無自覚な行動をとる一般人。四半世紀前の作品、久しぶりの再読だけど、正体不明な感染症が発生したときに起こること、人々の動きと反応などをリアルに描き、それが的確であることに驚く。

2020/04/18

遥かなる想い

郊外の町に 突然蔓延した日本脳炎を 巡るパンデミック・ミステリーである。 平和な日常から 突如として、感染の恐怖に 陥る人々の戸惑いが生々しい。 密閉空間における人間の心理を巧みに描き、 現代生活の脆さを暴いた印象的なミステリーだった。

2024/07/15

はたっぴ

久しぶりの篠田作品。元役所勤務という経歴が活かされた手に汗握るパンデミック小説だった。フィクションとは思えない現実味を帯びた物語に、自分の生活を当てはめながら読み進めると、次第にぞわぞわと背筋が寒くなり、読了した今は誰かに読ませたくて仕方ない。〝こんな出来事がいつ身近に起きてもおかしくない〟と思えるほど自然災害や病原菌(ウイルス)が蔓延る世の中で、いざという時にパニックにならずに大切な人を守れるだろうか?職場でいつも言われている「危機管理」という言葉が脳内を駆けめぐる作品だった。

2018/09/20

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