生まれ出づる悩み (角川文庫クラシックス あ 1-2)
生まれ出づる悩み (角川文庫クラシックス あ 1-2) / 感想・レビュー
賢一
有島は相反する思想に懊悩し続けた生涯であったとよく年表などで目にするが、若い画家志望の青年をモデルにすることによって一種のフラストレーションのようなものを「生れ出づる悩み」で発散したように思える。そしてこの小説の最大の特徴と言ってもいい二人称のスタイルを選択したことによって作者自身の投影と自然描写の緻密さが引き立ち絶妙なコントラストを生んでいる。作家として臨界点に迫りつつあった「私」を「君」に投影し、物語として見事に昇華させたのだ。まさに傑作。私は今後も再読しながらこの地を歩き続けたいと思った。
2023/04/22
考える人
どうしてもやりたい事がある。けれど、やらなければならない事の為にそれは妨げられる。そんな毎日の中で何を恨めばいいのか解らない。その為に、心に空いた穴はどんどん広がって止まらない。若い夢追人を描写したような作品。
2009/09/14
聡太郎
とにかく描写力がもの凄くて圧倒された。白樺派というので少し甘く見ていたけど、予想以上だった。しかし読んでるあいだの感じが重すぎて、長時間読むのがつらい。
2014/06/10
ヨッコ
生まれてきたことについて悩んでるのかと思ったら、生み出すことの苦悩、ということだった…描写が壮大すぎて若干ついてけない部分がある。白樺ってそういうのなの?
2009/04/29
いくっち@読書リハビリ中
「生まれ出づる悩み」をDS文学全集で読了。妄想の抒情詩。文学的表現が素晴らしい。<ただはるかな山すそから、干潮になった無月の潮騒が、海妖の単調な誘惑の歌のように・・・>
2009/05/07
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