和解 (角川文庫クラシックス し 1-1)
和解 (角川文庫クラシックス し 1-1) / 感想・レビュー
佐島楓
自伝的小説。父と子(志賀直哉)の確執を描いたもの。煩悶する気持ちが伝わってきて、書かずにはいられない小説だったことがよくわかる。お互いに意固地になり、歩み寄りたくてもそうできない苦しみ。それだけに、和解のシーンには胸が詰まった。これから志賀直哉の作品もカラーが変わっていくことを考えると、通過点として重要な作品だったのだなと納得した。
2017/02/03
めんま
余計な形容詞や語り手のお喋りは廃され、簡潔かつ短い文で、小気味良く進んでいく文章が心地よい。内容は、自制の効かないダメ男と父とのケンカの顛末であり辟易とさせ楽しめるものではないが、文章を味わうという点では一級品である。
2021/11/28
つー
他人の親子喧嘩を読んで面白いのだろうか…という疑念を持ちつつ(笑)、名文と言われる志賀直哉の文章に触れるべく手に取った。小難しい修辞を排除し簡潔な文体で、読者が自由な想像をする余地が少なく、「自分が見たもの、感じたものだけを忠実に理解してくれたら良い」と言うかのような、筆者の強い自我を感じた。志賀家の例を必ずしも一般化はできないだろうが、大正初期の家族関係や当時の暮らしぶり(手紙を書くとか電話を借りるとかも含め)もリアルに描かれていて、面白かった。
2020/07/17
ゆうき
自己とその周りを取り囲むものを、こんなに明瞭に客観的に振り返ることができるというのは本当に凄いと思う。
2009/10/11
ぴーひゃらら
互いの確執を謝ることは簡単そうで難しい。でもいがみ合いの期間が長ければ長いほど、打ち解けるのも一瞬。そしてそれこそ親子の向き合い方なんだと思いました。
2010/06/14
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