雪と珊瑚と (角川文庫)
雪と珊瑚と (角川文庫) / 感想・レビュー
ナイスネイチャ
梨木作品は温かい。シングルマザーの主人公が、周りの助けを受けながら自分と葛藤し食堂をオープンさせる。大きな出来事は起きないが、人から施しを受ける心の葛藤や、疎遠になっている人たちの再開する心情など丁寧な人生を綴ってました。美知恵の手紙の部分はわざわざ渡すかなぁとちょっと冷めましたが、読後は心地よい作品でした。
2016/04/15
machi☺︎︎゛
癒されたけど一歩踏み出せるような勇気ももらえる強い1冊。21歳、シングルマザーの珊瑚は生まれたばかりの赤ちゃん、雪を抱えて途方に暮れていた。たまたま見つけた「赤ちゃんお預かりします」という張り紙。藁にもすがる思いでドアを叩いた先にいたのは年配の女性、くららさん。その出会いを機にどんどん強くなり惣菜カフェ「雪と珊瑚」をオープンさせるまでになる。出てくる惣菜が野菜たっぷりですごく美味しそうだった。食べることはストレートに生きる事に繋がっていく。1食1食を大事にしようと思った。
2020/05/15
エドワード
赤ん坊の雪を抱えて途方に暮れていた珊瑚の目に止まった「赤ちゃん預かります」の張り紙。珊瑚が中学生の頃、家には食べ物がなかった。その記憶を抱きながら漠然と思い描く<食べ物屋>の夢。修道院にいたくららの魔法の料理、バイト仲間の由岐、農家の貴行や時生と築き上げるカフェ。21歳のシングルマザーにしては、話がうま過ぎるには理由がある。「けなげに生きています、というポーズが大嫌い!」と投げつけられる手紙。行方不明の母の消息。母と娘とその娘の連鎖を縦糸に、<見えない栄養>を横糸につむぐ「ちゃーちぇねえ」な物語だ。
2015/07/03
優希
優しさに満ちた作品だと思いました。シングルマザーの珊瑚が、赤ちゃんをあずかるくららと知り合ったことで人生が変わったのですね。絶望的な状況に置かれていた珊瑚が自ら自分の道を切り開いていくのが印象的でした。様々な助けがあったから、心の葛藤もあたたかさを感じさせたのですね。優しい惣菜カフェを開いたことで、生きることと食べることについて考えさせられました。
2019/03/15
mocha
21歳シングルマザーの珊瑚が、温かい人達の支えで総菜カフェを開く。ストーリーはシンプルだけど、親子の愛情や人との関わり方、プライドについてなど様々なことを考えさせられる。赤ちゃんのいる生活が「そうそう、そうだった」と懐かしく思い出された。そして、慈愛に満ちたくららさんは『西の魔女』みたい。どの料理も体と心に優しく美味しそうで、メモしておきたいくらい。
2020/12/29
感想・レビューをもっと見る