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天佑なり 下 高橋是清・百年前の日本国債 (角川文庫)

天佑なり 下 高橋是清・百年前の日本国債 (角川文庫)

天佑なり 下 高橋是清・百年前の日本国債 (角川文庫)

作家
幸田真音
出版社
KADOKAWA
発売日
2015-07-25
ISBN
9784041031728
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天佑なり 下 高橋是清・百年前の日本国債 (角川文庫) / 感想・レビュー

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いたろう

小説としては、上巻の波瀾万丈の前半生の方が面白いが、日銀の副総裁として、日露戦争の戦費調達のため、日本国債を海外で売ろうと倫敦に行くあたりから、金融のスペシャリストである真音さんらしい経済・金融小説になっていく。そして是清は、日銀総裁を経て、大蔵大臣と、いよいよ政治の世界へ。その後、原敬の後を受けて、総理大臣にもなるが、やはり高橋是清と言えば、6回も勤めた大蔵大臣。ケインズ理論よりも以前にケインズ的な積極財政政策を実行していたことに改めて驚きを覚える。

2015/11/07

Book & Travel

日銀に入り活躍する是清。日露戦争の戦費調達の為の外債発行を苦労しながらも成功させ、その手腕が買われ大蔵大臣に就任すると、大正から昭和にかけての日本財政の危機を幾度も救っていく。一気に経済小説らしくなり、丁寧な人物描写が好きな自分にとって文体が好みではない所もあるが、是清の人物像があまりに魅力的。若い頃からの経験で身につけた経済感覚と国際感覚、信念を曲げない強さ、そして無私の精神で、危機を救い、多くの人に頼られ、軍部の横暴にも頑として譲らない姿に惹き付けられた。それだけに二・二六の凶行に憤りを禁じ得ない。

2016/10/28

Walhalla

下巻に入り、経済小説としての色が一気に濃くなりました。 幸田真音さんの得意分野ですものね。高橋是清については、 長く大蔵大臣を務めたのは何となく知っていましたが、総理大臣にもなられていたのですね。ですがやはり、財政家としての活躍の方が印象強いです。戦費を調達するため国際的な公債募集を成功させるなど、この時代の日本が数々の難局を乗り切ったのは、その手腕によるところが大きかったのですね。とても濃厚な作品でした。そして、とても勉強になりました。

2022/07/28

geshi

日銀に入り財政の専門家として東奔西走する後半生。日露戦争の裏舞台には日本とロシアの債権の闘いがあった。古きに囚われない発想もさることながら、それを支えているのが多岐にわたる人脈を作れる是清の人間的魅力だというのが伝わって来る。債務超過で綱渡りの連続の日本経済にこの人がいなければどうなったのか。この人が226事件に斃れなければ、日本は戦争への道を止められたのではないだろうか。国家のために私心なく己の力をかけた、日本にとっての天の佑けというべき人物だった。

2015/10/11

thee birdmen

明治から昭和初期の日本が欧米列強に追いつけ追い越せと拡大路線を歩んでいく裏で、経済面ではこんな危険な綱渡りの連続だったとは驚きでした。日露戦争の戦費調達で私欲を殺して国家のために生きる姿は壮絶。国を背負って幅広い人脈を築き、多面的な情報収集で最大の利益を出す。という是清が背負ったプレッシャーは想像するだに恐ろしい。その後日銀総裁、総理大臣、政友会総裁などを歴任する中、時の宰相から大蔵大臣として請われること5回。その都度国難を乗り越えます。この人なくして今の日本はなかったといっても過言ではありませんね。

2016/04/30

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