或阿呆の一生,侏儒の言葉 (角川文庫 緑 33-10)
或阿呆の一生,侏儒の言葉 (角川文庫 緑 33-10) / 感想・レビュー
Gotoran
片山廣子著作『燈火節』繋がりで「或阿呆の一生」を求めて。35歳の若さで”将来への茫漠たる不安”という遺書を残し、自身の生と文学の全てを賭して決断・選択して自死に至ったという芥川龍之介。本書はその最晩年の作品集(表題「或阿呆の一生」「侏儒の言葉」他16編、内8編の遺稿を含む)。文学的回顧の「或阿呆の一生」、アフォリズム溢れる「侏儒の言葉」、イエス・キリストの人間としての苦悩と芥川のそれとを重ね合わせた「西方の人」「続西方の人」が印象深く、理想を追い求め、到達できなかった芥川の苦悩の深さが推し量られた。
2014/02/13
パフちゃん@かのん変更
昔読んだ本が出てきたので、捨てる前に登録。1974.12.3
双海(ふたみ)
表題作は読んだことがあるのですが本書所収の「暗中問答」を読みたくて購入しました。「僕は死ぬことを怖れている。が、死ぬことは困難ではない。僕は二、三度頸をくくったものだ。しかし二十秒ばかり苦しんだのちはある快感さえ感じてくる。僕は死よりも不快なことに会えば、いつでも死ぬのにためらわないつもりだ。《暗中問答》」
2014/03/21
ピンクピンクピンク
この一冊は難しかった…。半分理解できたかどうか。その中でもお気に入りは「機関車を見ながら」「侏儒の言葉」。「侏儒の言葉」はすごい作品。侏儒の言葉を届けるため蔓草を広げてすべての人に触れられる様に書かれると感じた。芥川龍之介作品の極致ではないだろうかと思う。中でも好悪、人生、暴力、天才、虚偽、日本人、徴候、幼児、死に惹かれた。
2016/09/01
knot
収録作の多くは芥川の精神が末期状態になっているのを窺わせる。【歯車】は幻覚や、ある符号が巧みに生と死の狭間を行き来するかのような印象的な作品だが反面、精神状態がピークに達しているのではないかと思われる。一方【闇中問答】では悪魔と問答するという体をとりつつ自問自答し、心の闇と向かい合い、折り合いをつけ人生をやり直そうと、生きようとする必死の芥川がいる。終わりの数行にある自らを叱咤する言葉は涙を誘う。【侏儒の言葉】の中にある、"人生は地獄よりも地獄的である"。この言葉が彼の心のすべてであったように思える。
2015/04/27
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