あとは野となれ大和撫子
あとは野となれ大和撫子 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
タイトルの軽やかな魅力に惹かれて購入。この著者の本は『ヨハネスブルグの天使たち』に次いで2作目。この人は創作の幅が随分広いようで、「カブールの園」(芥川賞候補作)などの純文学系もあるようなのだが、一方の本作は、内包するテーマこそ重いものの、ライトノベルかと思うくらい(読んだことがないのだけれど)ひたすらに軽い文体と人物造形である。巻末にはかなりたくさんの重厚な参考文献が掲げられているが、内容からすればハッタリにしか見えない。つまり、著者の意気込みほどには成功しているとは言い難いのである。
2019/05/09
starbro
宮内悠介は、新作中心に読んでいる作家です。第157回直木賞候補作3作目です。初めて著者のSF以外の作品を読みました。現地を取材したようですが、常に死と隣り合わせの地域の割には緊迫感は感じられませんでした。主人公ナツキのキャラクターのせいかも知れませんが・・・宮内悠介は、やっぱりSFの方が良いのかなぁ?現時点では『BUTTER』が直木賞の本命です。
2017/06/23
海猫
架空の国家を作り上げる手腕が見事。序盤飲み込むのに戸惑うだけで、全体的に読みやすい。別視点を各章の終わりに架空のブログ記事で挿入しコンパクトに読ませたり、仕掛けが凝って巧み。なかなかの力作ではあると思う。で面白かったか?になるとちょい微妙。地味に迫真の描写になるか荒唐無稽スレスレの派手な展開になると良かったがどっちにも寄らず、リアリティバランスのとり方が苦手。あとになるほど期待したものとはズレるので、私の好みに合わなかったと言うしかない。これ原作のTVアニメが作られるならぜひ見たいとは思うのだけれども。
2017/07/29
ホッケうるふ
中央アジアという日本人には縁遠い地を舞台にしてこの地域のロシア圏としての特殊性とアラル海の環境問題や食文化などを詳細かつ生き生きと描いて見せてくれた事が本作最大の意義であり収穫と言える。舞台は架空の小国だが現地に取材した作者がリアル感を醸し出す。ただそのリアルさをぶち壊してしまうのがマンガ以上にありえない場面展開の頻発。多彩な民族の主人公たちの言動も日本の女子そのまま。ただ退屈を覚悟していたクライマックスの歌劇や議会の場面などは良い出来。さらに冒頭をリフレインしたラストは実に見事で思わずウルっときた(笑)
2018/09/24
ナイスネイチャ
図書館本。中東アジア小国の大統領が暗殺され、国の中枢幹部が逃亡し、大統領の後宮にいた少女たちが立ち上がり国を守っていく話。まあ出来すぎ感はありますが、ストーリ―としては面白かったです。ただ大和撫子?日本人?って感じは一切ない。
2017/07/01
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