墓頭 (角川文庫)
墓頭 (角川文庫) / 感想・レビュー
ケイ
直木賞作家となった真藤氏の過去の作品を読んでみた。受賞作と比べると拙さは否めないが、行き場のないたぎる熱がやはりここにもある。政治と絡めたために、肝心の元にある話がぶれてしまっているのが残念だ。出だしからの主人公の描かれ方にとても惹き付けられただけに...。真藤氏は、RPG世代なのだろうか。戦って生き残るというストーリーが基軸にあるのかもしれない。もう1冊読んでみようと思う。どうしても今回の受賞作と比べてしまうので、感想が辛口になってしまった。
2019/01/23
papako
宝島を100円で楽しませてもらったので、こちらを。うーん、途中までは楽しめた。『生まれながらに彼は墓だった』つかみは良かった。彼ボズが動いて行動している間の物語は楽しめた。第五部のヒョウゴの部分は、観念的で置いていかれてしまった。しかしラストに向かって、シロウの生死、ユウジンの真実、ヒョウゴとボズのそれぞれのシロウへの想いを知ると、物語がまた違った味わいになりました。振り返れば楽しめた。でも、作者独特の語りが好み別れるだろうな。やはり『宝島』が良すぎたから、辛くなってしまうな。
2019/02/23
はつばあば
読了はしたがレビューへの表現力が私には無い。墓頭が産まれたのは私より5~6年後だが、田舎で産まれ、いわゆる奇形。異能な才能を持つ子供達の施設で名無しの子は墓頭と呼ばれ、改革運動の吹き荒れる中国では毛沢東に出会い、カンボジアではポルポト有りと東南アジアの戦火の中を孤独に生きる。私より若いのですよ。同じ時代を生きているのにこういう人生もあるのだなとフィクションとは言え言葉にならない。ボズがなぜ禍々しい事物を引き寄せるのか・・切なかった。
2020/01/10
森オサム
なんと濃密な物語で有った事か。頭の中に墓を持って生まれた男の数奇な人生と、関わる人達の悲劇を描いた作品、と言う事なのでしょうが、私にはそれ以上粗筋を説明する事が出来ない。グロテスクでバイオレンス、そして壮絶、非情なのに、読み終えると嫌悪感だけが残る訳では無い。物語のパワーに圧倒された疲労感と、読み切った達成感の方がより強い。奇想天外とはこの事で、作者の頭の中はどうなっているのか。エンタメとして面白いのでみなさんぜひ、とは言わない。結局何が言いたかったのか、理解出来たとも言えない。ただ、作者の才能に痺れた。
2017/06/04
翔亀
【物語9】2012年の著者第8作目。この作品で物語作家・真藤が完成されたと言っていいかもしれない。数奇なる運命をたどる一生を描いた大河ドラマであり、失踪した親を探すルーツ探求ものであり、異形のバイオレンスホラーであり、独裁者とテロのポリティカルものであり、生と死と自己と他者を哲学する思想ものであり、どんでん返しのミステリーであり、永遠の友情物語でもある。これらがそれぞれ文体を変えながらも違和感なくひとつの物語として完成されている。とにかく圧倒されるばかりだった。感想を書く言葉さえも出てこないが、↓
2021/09/25
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