ヒマラヤ漂流 『神々の山嶺』へ (角川文庫)
ヒマラヤ漂流 『神々の山嶺』へ (角川文庫) / 感想・レビュー
やすらぎ
山に来てひとよ、優しい焚き火の色がぼくをげんしじんにするのだ…世界一高い山を目指す意味は何か。たとえ登らなくても頂嶺は今日も見えるというのに。遥か彼方に朝の陽光、志高くあろう。もうこの先に新緑はない。なぜここにいる。8848m、ここでしか出来ないことがある。凍てつく極限地。限界との狭間で五感が研ぎ澄まされる。その麓にあるカトマンズ、この街が好きだ。ぼくを通り過ぎた風は何処へ行く。登り詰めたその先には何がある。下山の帰路に何を見る。答えなどいらない。自らの熱い想いを抑え込み、強く震える。山嶺へ。また山嶺へ。
2023/07/09
hiro
映画『エヴェレスト 神々の山嶺』の撮影現場であるエベレストのBCまで、夢枕獏さんが訪れたときの旅行記ということで、カトマンズやエベレスト街道はもちろん、映画の撮影の様子も(宣伝のために?)しっかり書かれていると期待して読んだが、写真集と獏さんの短かい日記という感じの本だった。神々の山嶺を撮った写真はすばらしいかったが、高山病になった獏さんのあの状態なら、旅行記の方は仕方がないかもしれない。いよいよ映画の公開が迫ってきたが、やはり映画館の大きなスクリーンでこの『神々の山嶺』を観てみたい。
2016/03/07
マリリン
「神々の山嶺」は、ヒマラヤを愛してやまない著者が心底書きたかった作品だったという気持ちが伝わってくる。特に第一章。第二章の旅を綴ったヒマラヤ日記からも、第三章は、神々の山嶺から抜粋した言葉からも。...独りの山は深い... 深いから進みたくなるのだろうか? 惹かれるのだろうか?
2023/09/30
ぐうぐう
『神々の山嶺』映画公開を記念した一冊。夢枕獏が撮った山の写真に詩を添えた章、映画スタッフが撮影しているエヴェレスト5千メートルへ向かった旅の記録としての日記の章、そして『神々の山嶺』から抜粋された言葉から綴られた章の三部構成。中でも「ヒマラヤ日記」がおもしろい。現地の人達と交流しながら、過酷な登山を続ける夢枕と仲間達。すごいと思ったのは、そんな中で、仲間の一人である寺田克也とのコラボで原稿を書いていることだ。小説家とは、漫画家とは、なんと凄まじい職業なのか。(つづく)
2016/03/21
yuki@おぐ
【図書館】実は夢枕さんの本は読んだ事がありませんで(・・;)また、こういう紀行文(エッセイ?)を読むのも非常に珍しいのですが、写真が豊富で尚且つ、今自分が山に興味があるので、とても楽しく読みました、5000㍍と言わず、4000㍍を超えたら、もう神の領域。人の力でどうこうすることができない、まさに生かされている領域。最初の詩がいいです、また寺田克也さんのイラストが素敵「十五夜物語」「須弥山物語」読みたくなりました。まずは「神々の山嶺」を読みたいし映画も絶対観たい。
2016/06/09
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