はだれ雪
はだれ雪 / 感想・レビュー
いつでも母さん
良かった・・余韻にいまだ浸っている。『悔いず、迷わず、心満ちて生きていくこと』これが紗英の本願。流罪になった目付・勘解由の漢気。かくありたいものですねと、世に、自分に問いたい。忠臣蔵が絡むとあってはやはり読みたくなる作品。葉室作家これは良い!浅野内匠頭の『最期の言葉』がポイントになるのだが、妻を、家族を思うことが御家を、民を思いやることへとつながる、優しくも一本筋の通った凛とした話となったようだ。どこぞの誰かに聞かせたい。途中の揺れる女心は葉室作家の得意とするところか。画と題字がその意味と共に効いていた。
2016/02/18
starbro
葉室麟は新作をコンスタントに読んでいる作家です。多作ゆえにクオリティの劣化を心配していましたが、少し持ち直した感じがします。本作は忠臣蔵のサイドストーリー、仇討が主題ではなく愛・家族の物語です。「はだれ雪」の渋味と箏、笛の調べが相俟って素敵な情景を醸し出しています。
2016/01/27
keiトモニ
“紗英様!永井様がご赦免…。江戸城での年賀の折、旗本として将軍家に拝謁なされたそうで…お咎め受けず…”綱吉さんの裁断とは思えず、心の片隅ではお咎めなしを想いつつも、えェ~と驚愕。で24歳の紗英“よいのか、ではなくて、頼むと仰せくだされますならば、わたくしの励みとなりましょうほどに…”勘解由“わかった。よしなに頼む”…おっ勘解由!男冥利につきるね。紗英さんのお覚悟じっくり堪能致しました。日本人女性の鑑だ。“たとえ僅かな間であろうと勘解由と添えるならば命が絶えても悔いることはないと、胸の内で”…泣かせるねぇ。
2016/05/28
ドナルド@灯れ松明の火
葉室流忠臣蔵外伝。葉室氏は情景描写がうまいのだが今作は謹慎を申付けられた永井を預かった扇野藩の面々や、浅野家の浪士たちや大石内蔵助の描写がややくどく冗長だった。そのくせ討ち入りの後の描写は駆け足で雑。まあ、それでも紗英と永井勘解由の心通じあう描写は良かった。
2016/04/29
ichi
【図書館予約本】忠臣蔵のサイドストーリー。実在しない登場人物を主人公としていますが、史実に忠実な内容となっています。勘解由と紗英の以心伝心ともいえる心の通い合いが葉室さんらしく描かれていて、素晴らしかったです。この結末でよかった。最後は涙腺緩みました!
2016/03/17
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