呼ぶ山 夢枕獏山岳小説集 (角川文庫)
呼ぶ山 夢枕獏山岳小説集 (角川文庫) / 感想・レビュー
HANA
山岳小説集と銘打たれてはいるものの、単純に山に登る話ではなく山に潜む何か、いけない所に彷徨いこむような話が中心。山が本来異界であるという事を思い出させてくれるなあ。半数が初期作品であるため既読作品も多かったが、山中の描写が上手い為何度読んでも引き込まれるし。しかし改めて著者の作品を読むと文章のリズムが非常に素晴らしいのに気づかされる。ダケカンバの落葉を一日中見ている文とか、読んだのは十何年前なのに未だに覚えているし。山中を歩く時の感覚や一度だけ訪れた事のあるカトマンズの喧騒が、蘇ってくるようであった。
2016/09/12
みくろ
山に関する8編の短編集。恥ずかしながら夢枕さんが登山家とは知らず驚き。山ならではの不可思議な世界観が素敵です。自分は登山をしない人間ですが、こうして小説を通して山の雰囲気を感じるのがすごく好き。後半に収録されている3作は東南アジアの宗教観も見えてきて面白い。個人的には「ことろの首」が一番好きです。人間が起こす奇跡や霊的現象も面白いけれど、やっぱりこういう話には勝てないな~と個人的には思います。夢枕さんの作品はまだあまり読んだ事がないので、映画もあるし『神々の山嶺』是非読みたい。他短編集も気になるところ。
2016/03/09
ビブリッサ
山岳小説(短編)集。書名でもある「呼ぶ山」は、「神々の山嶺」のスピンオフだと気が付く人も多いはず。雪崩に巻き込まれた長谷の最期の独白だけを綴ったものだ。全ての作品に貫かれているのは「山は魅力的な畏怖すべき場所」だということだ。登りたいから登る、自分の名を神に告げにいくような感覚、その文言は素直で美しい。違和感を覚えるが、登山はスポーツのカテゴリらしい。死亡率の最も高いスポーツ。私の中では、登山は哲学だ。登りながら自己に深く深く潜っていく。頂上と精神のコアに辿り着いたとき、「声」が呼ぶなら最高なのだけれど。
2016/07/28
あきまこ
現実味が薄い、やや歪められた世界に迷い混んだような、山の世界でした。自分は間違いなくこの世に存在して普通に生きているはずなのに、いつの間にか得たいの知れない、正体不明のものに弄ばれているかのような、そんな気持ちになりました。トレッキングや登山の描写が良かったです。
2017/05/14
ちょん
何作か読んだことある話がチラホラ(笑) でもやっぱり「鳥葬の山」はインパクト大!この話好きです(๑^^๑) 槍ヶ岳とか自分が登った時のこと思い出したりしながら読みましたが…やっぱり山って怖い( ˘•ω•˘ ) !神秘的だなぁ…
2016/09/03
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