京都 恋地獄 (角川文庫)
京都 恋地獄 (角川文庫) / 感想・レビュー
しいたけ
何冊か読んだ花房観音。尊敬する読友さんの評価を見ながら、苦手意識を持つ自分のお子様さ、浅さを情けなく思っていた。が。しかし。これはイケた。相当良い。私にも漸く花房観音の耽美、恋の業、情念の一片が刺さった。この男との刹那のためなら地獄に堕ちても構わない。そんな暗い焔が、私にもあった。人生をかけてこの男に復讐しようと誓った。今でも時々その想いが顔を出す。恋情と憎しみの境界を人は引けるのか。観音が「私の今のところ唯一の恋愛小説」と言っているとのこと。小説の女の純情なのか、観音の純情なのか、その境界も曖昧だった。
2017/07/25
キンモクセイ
京都に移り住んだ女性作家がいつも想ってしまう男がいた。どうしようもない男なのに忘れられない。それはただ単に欲に溺れていたのか相性が良かったからなのか。いや本気だったから。取材で出会った墓守女の若い頃の話は宿命なのか。「寂しさってつのると恨みに変わるんやで。」墓守女が言うと説得力ある。「恋の地獄になんて二度と近よりたくない。身体だけでいい、心なんていらない。」「恋は極上の快楽と幸福と身を切られるような別れの苦しみを伴っている。」本当の恋をして終わってしまった人にしかわからない言葉の重みだろう。
2020/02/16
p.ntsk
【読メエロ部】京都を舞台にしたエロス&ホラー。官能描写や恐怖表現はそれほどではなかったです。花房さんお得意の女の性、情念を描いた恋愛小説という感じです。[共読反映の為登録]
2019/09/14
メタボン
☆☆☆ 官能にしてもホラーにしても中途半端。もっとこう情念に身を委ねるようなねっとりした花房観音を読みたい。「見える墓守女」という設定が良かっただけに残念。
2019/01/14
のんすけ
花房観音さんの世界観、またはまっていきそうな感じです。見える女と見えない女、どちらも悲しい。この女たちの恋愛のなんと深く悲しいこと。身体を重ねたら心に火がつくのか、心が求めているから最低の男でも燃え上がってしまうのか、当人にもわからないだろう。京都と女と死が絡み合う怖さと深さとがたまらなく好き。でも暑いだろうなぁ。
2016/05/31
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