犯罪小説集 愛蔵版
犯罪小説集 愛蔵版 / 感想・レビュー
ケイ
短編5つ。ムラが舞台の2つは、すみずみまでに漂う何かにゾッとする。。決して悪くはない、むしろいい人の中で行われる村八分。敢えて理由をつけてだったり、無意識に関わらないものだったり。その壊れっぷりが導く結末は、ムラとして責任のあるものなのかもしれない。大物が発狂したかの如くに陥るところも、破壊され方が大きいほど、静かな恐怖につつまれた、共通するのは閉塞感だろうか。なんと言っても1つ目が秀逸。
2020/07/21
紫 綺
犯罪に纏わる短編集。様々な人間模様がここにある。
2019/11/24
shizuka
実際の事件を背景にしていたとは気づかなかった。どれも小説としてよくできていたと思う。なぜ犯罪に至ったか、これは犯人にしか結局は分からない。そこに肉迫し、なんとか心情に追いつこうとすると、この小説集のような結末になるのかも。一番悲しかったのは1話目「青田Y字路」。青年はさ、母親以外優しくされることなくて、それでふっと触れてきた女の子に惹かれてしまったんだろうな。やってしまったことは犯罪だったとしてもきっかけは純粋な気持ちだったんだろうって少し思う。同情は厳禁なんだろうけれど。田舎村八分はこれはもう、無情。
2018/04/04
はれひめ
ザワザワと悪寒がする読後感。犯罪者の心理描写は無い。それなのに事件に巻きこまれて堕ちていく感じが伝わる。さすがに吉田修一です。実際にあった犯罪をモチーフに背景を描いていて再現フィルムを観ているよう。ティッシュペーパー王子も転落した番長も、事件に思い入れがあるか無いかで読み方は変わるかも。僭越ながら「万屋善次郎」は過疎集落連続殺人のニュースを聞いて私が想像した背景に近い。
2016/11/10
しーふぉ
実際にモデルのある事件をアレンジした五編の短編。人間の弱さが垣間見れる。現代を代表する小説家の一人だと実感する上手さ。
2020/03/01
感想・レビューをもっと見る