ふたりみち
ふたりみち / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
キレいなだけの人間ドラマだけではなく、笑いあり涙ありのコミカルさもしっかり書き綴る山本さんの新刊はこれまた見事なロード喜劇でした。67歳の元歌手「ゆかり」と12歳の家出少女「縁」、奇しくも二人で函館から営業の旅に出たココロ温まるお話です。最初から最後まで見事に山本さん節がきいていて、鼻がツンとなるお涙ポイントも多数ありました。ワケありの人生を乗り越えてきた「ゆかり」の『運命に逆らう』というセリフはグッと胸に響きます。泣くなぁとわかってはいてもやっぱり最後はしっかりと泣かせていただき、ブラヴォ!な作品です。
2018/04/30
いつでも母さん
『無愛想ブルース』本当にあったのかと思ってしまった昭和ド真ん中の私でした。幼い頃親戚が集まると歌を唄わされて、あれは嫌だったのに唄わない選択などなかったなぁ・・と思い出した。67才の元歌手・ゆかりのドサまわりに12才の家出少女・縁(ゆかり)が付いて行く。いつしか二人には『絆』が生まれて・・『運命に逆らうのよ』かぁ。いい。なんだか良かった。67才まで生きて来るにはいろんな事があったよね。ラスト数ページ、ラスト1行に胸がグッと来る。ゆかりの『愛の賛歌』を聴いてみたくなった。
2018/05/05
ユザキ部長
「笑って泣いて、怒ってまた泣いて。また笑って。67歳にして感じたリア充」とても良かった。最近の山本幸久さんの本はキャラ立ちがぶっ飛んでる感を多少感じてました。今作はお年だし?抑えめでもポップな感じは楽しくてウキウキしながら読めます。「ひとりでは寂しい。それなら運命に逆らって生きよう」
2018/07/10
あすなろ
コロナワクチン副反応と共に読了。そんなシチュエーションに読むには適した作品でもあった。67歳の引退した元歌手。そして、日陰者と自負している元歌手がもう一度だけとかつての伝手を辿り、自らツアーを組んで周り始めた。そこに加わる少女。ペーソス感溢れるだけの筈のこのストーリーを山本氏は常に明るく照らすのである。そして、明るい落涙シーンをラストに向けて準備していく。そのラストがまた良いのである。スタートはどういう物語なんだととっ散らかった感を正直思ったのではあるが。後は印象的な「運命に逆らえ」である。
2022/04/30
紫 綺
歌手ゆかり67歳、家出娘縁12歳のドサ回り珍道中。軽快なテンポで、読む者の心に染みいるステキな一冊。これが気に入った方には、桂望実さんの「僕とおじさんの朝ごはん」をオススメしたい。
2018/04/28
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