政略結婚
政略結婚 / 感想・レビュー
徒花
ブクログプレゼント。幕末、明治、大正、昭和と、激動の時代を生きた女性たちの結婚と家柄にまつわる物語を、3人の主人公の視点から紡ぎだした大河ファンタジー(ってなんだ?)。一人目のお姫様こそ実在の人物だが、以降はフィクション。「女は結婚してこそ一人前」「子ども生んでナンボ」という世界ではあるが、必ずしもそれに真っ向から反対するわけではなく、それを自分のなかで消化して受け入れたり、うまくいなしてかわしたりする彼女たちの姿からは紛れもなく強さを感じる。悪くはないが、小説としてのおもしろさは、まあまあ。
2017/07/24
風眠
政略結婚というと、家のために犠牲になってとか、そんな不幸がうずまくイメージだけれど、それは後に創作された小説やドラマの影響だなって思った。実際には、結構幸せだったのかもしれないな、なんて。価値観も育ち方も、今とはまったく違う時代。形としては政略結婚だったとしても、夢や不安が入り混じった少女らしいときめきがあったのだなぁって思った。目の前の試練や現実を切り開き、ひとりの女性として立ち、命を輝かせ、まっとうした女性たち。江戸時代から昭和、そして平成を生きる私たちへ。てんさいの大皿に託した想いの形を受け継いで。
2018/03/01
mariya926
文庫の表紙絵がとても素敵で惹かれて読みました。最初の勇は実在する人物で、政略結婚だったのに関わらず夫との仲が良く、夫も側室を置かずに…しかし夫や養子たちが次々に亡くなる中、何としても一族を守ろうとする姿が描かれています。そして明治時代に幼い時に外国で過ごし日本での教育を受けさせられたが、その時代の政略結婚ではなく自分なりの結婚を見つけ出す万里子。最後に最期の華族として生まれて、時代の流れの中で財産を失い落ちぶれた中で、華族女優として生き残っていく花音子。3つの物語で出でくる絵柄のインパクトが強いです。
2021/12/23
モルク
江戸から昭和を生き抜いた3人のプリンセスたち。短期間で情勢が目まぐるしく変動するなか、彼女たちはたくましい。本来の政略結婚は最初の「てんさいの君」の勇姫だったが、家名のためその駒として使われながらも、それでも夫への愛を感じる。夫の早世以後の彼女の活動的なこと。自分の役割を全うしさらにそれを広げる。3人のそれぞれの話がてんさいの絵柄の九谷焼の絵皿で繋がり、遠い昔にロマンを感じた。
2018/09/29
れみ
江戸時代、加賀藩前田家の姫・勇(いさ)が分家の大聖寺藩に嫁ぐところから始まるお話。度重なる不幸によるお家お取り潰しの危機を乗り越えるべく奔走する勇。そして、小松子爵家に生まれ長い海外生活と日本での経験を経て、明治〜大正の時代を自分の夢と好きな人を追い求めつつ家を守るべく奔走する万里子。さらに、昭和〜平成にかけて、深草家という華族の家に生れながら時代の流れの中で没落の憂き目を見ながら小さな劇場で売れっ子女優になっていく花音子(かのこ)。同じ家で時代が移っていくんじゃなく遠くでかすかに繋がっているところが →
2018/12/24
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