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まんがでわかるまんがの歴史

まんがでわかるまんがの歴史

まんがでわかるまんがの歴史

作家
大塚英志
ひらりん
出版社
KADOKAWA
発売日
2017-11-04
ISBN
9784041047972
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まんがでわかるまんがの歴史 / 感想・レビュー

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ハイランド

大塚氏お得意のマンガ論をひらりんの絵で展開した、日本マンガの歴史。ハリウッドで展開された記号としてのマンガキャラクターに、身体性(成長と死)を付加し、映画的手法を取り入れ、さらにさまざまな実験的取組がなされた結果、百花繚乱ともいえるマンガの現状が生まれた。戦後のその状況は、手塚治虫という一人の革新的漫画家を経由して発展したというと全然要約になってないが、面白かった。特に、記号としてのキャラクターという共通財産を、現代アートという名のもとに、裁判を通じて私物化した某アーティストへの批判的言及は痛快だった。

2019/04/21

さらば火野正平・寺

これは名著である。KADOKAWAはいずれ必ず文庫にしてほしい。漫画の歴史を書いた本はちょいちょいあるが、それらのどれもが指摘していない事を掘り下げて書いてある無二の本(しかも漫画)である。戦前戦中の漫画アニメ事情と、それが後世に与えた影響、そして今現在の漫画やアニメも、手塚治虫の掌の上から1歩も出ていない事実を指摘。素晴らしい漫画文化史である。漫画が好きな人には是非お薦めしたい。戦前戦中の意外と豊な世界、大城のぼるの闘い、改めて思う手塚治虫の大天才。『忍びの者』の村山知義が出てきてびっくりである。

2018/09/05

ぐうぐう

すこぶる面白く、非常にタメになる。タイトル通り、漫画の歴史を漫画で読み解く学習漫画の体だが、そのベースはこれまで『アトムの命題』等、大塚英志が自著で論じてきた漫画論にある。手塚治虫がいかに記号的漫画から身体と内面を発見(発明)していったかを、日本の歴史(特に戦時下)から解読していく。その視点のおかげで、従来信じられてきた漫画史が根底から覆っていくカタルシスが本書にはあるのだ。(つづく)

2018/11/29

チョビ

これは歴史という大枠の中にある漫画という文化の評論である。漫画の知識だけでなく、共産主義の知識も必要で、それに欠ける私は眠くなりながらも、科学的共産主義は時に戦争に加担するという世界観にモロモロを感じた。そして鳥獣戯画よりアメコミよりディズニー!これこそ日本の漫画の祖先であり、その血を受けついだ戦後の漫画家の努力に反し、科学的共産主義にプラスした様々な「人間らしさ」を吐露し始めた漫画に影響を受けた日本人はひ弱になる運命だったのだな、と感じた。

2018/05/15

コリエル

戦後まんが史において、手塚治虫はキャラクターの身体性と内面性を生み出し、そうした身体と心を持ったキャラを動かす舞台として、世界(現実)を挿入していった。これらは大塚が長年創作論等で語ってきた内容と重複するが、戦前からの漫画とその周辺での表現の流れを拾っていることで、これまでの著作よりもその主張を理解しやすかった。戦中には国策によって否応なく表現は影響され、また戦後にも様々な政治事情がその下地となったこと。戦争という不可避の現実が、芸術表現である漫画に何も影響しなかったと考える方が不自然なので割と同意かな。

2019/02/08

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