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不時着する流星たち

不時着する流星たち

不時着する流星たち

作家
小川洋子
出版社
KADOKAWA
発売日
2017-01-28
ISBN
9784041050651
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不時着する流星たち / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

10人(人というには例外あり)の人たちにインスパイアされて書かれた10篇の短篇小説集。いずれも、どこか不思議な雰囲気を纏ったお話だ。その意味では、これらは始原的な意味でのモノガタリであるのかも知れない。いずれも、わずかに25ページくらいの小品なので、一見したところそこに描かれるのは語り手を中心とした小世界である。ところが、そこから想像力が翼を得て空間と時間は無限の拡がりを見せる。とりわけ心の琴線に触れたのは第一話「誘拐の女王」と第十話「十三人きょうだい」。そして、それらの間を埋めるのは個性煌めく物語群だ。

2017/04/27

starbro

小川洋子は、新作中心に読んでいる作家です。本書のタイトルも良いし、各短編のネーミングも小川洋子ワールド炸裂!実在した著名人のオマ-ジュ幻想短編集。オススメは『誘拐の女王』と『肉詰めピーマンとマットレス 』です!次は長編を読みたいなぁ。

2017/02/16

ウッディ

実在した偉人・奇人のエピソードをモチーフにした10編の幻想的な短編集。夢を見ているような不思議な読後感で、作家がある出来事から、着想し、自由な空想し、物語に仕上げていくプロセスがわかるような本でした。個人的には、第二話の「散歩同盟会長への手紙」が好きでした。出版社の梱包係としての仕事に誇りを持つ孤独な主人公が、行きつけの喫茶店のプレゼントの梱包を手伝い、喜びを感じる物語で、他人を気にせず、自分らしく生きる姿が、市川拓司さんの小説の主人公を彷彿とさせ、心に染みました。タイトル、装丁ともに素敵な一冊でした。

2018/07/13

風眠

過去はどうして、いつも美しいのだろう。もう失われてしまった風景だからなのか。それとも、もう死んでしまった人だからなのか。時折、私の胸に不時着する流星たちは、小さな声で歌をうたう。よくよく耳を澄ましていなければ気づかないくらい、小さな小さな声で。片隅で生きている私たちを、隙間に漂っている私たちを、どうか忘れずにいて欲しい。優しさと哀しみの波打ち際に打ち寄せられた、ほのかな狂気の歌。グロテスクさの中に見え隠れする、ひそやかな祈りの歌。小川洋子の掌から零れ落ちた、小さな星たちの歌。儚さと不穏のはざまで、響く歌。

2017/03/13

さと

目の前の扉を開いたと同時に、一瞬たりとも他ごとを考えてはいけない、そこにあるものの存在、それが放つ全てに全神経を集中しなくてはならない そんな世界を旅した気分。小川さんの作品を読むと、全宇宙に存在する万物が与えられた使命を真摯に受け止め、ただ全うしようとしているのだという気になる。改めてそれらに意識を向けた瞬間、自分という人間がこの世に不時着する前には万物と等しく存在していたのかもしれないとさえ思えてくる

2017/05/25

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