コモリくん、ニホン語に出会う (角川文庫)
コモリくん、ニホン語に出会う (角川文庫) / 感想・レビュー
penguin-blue
チェコのロシア語学校で学んだ小学校低学年時代。海外の学校で日本語以外を所謂「国語」として学んだ経験がある人の多くは日本に帰ってからの国語の授業に戸惑いを覚えるらしい。作者はずっとその違和感を持ち続けたまま成長するが、すごいと思うのは結局その日本の文学を教える職業についたこと。こういう迷いを経験した人に教わることは幸せなことなのではないか。恐らく通常の国語の授業以上に真正面から日本の近代文学を読み込み、向き合おうとする授業が興味深い。読んで日本には「みんなが共通でわかる文学」がないことを痛感する。
2018/02/04
navyblue
6月、小森先生が担当された夏目漱石を読む講座が大変面白かった。すっかり魅了され、この本を手に取った。なんとあの米原万里さんと同じチェコのロシア語学校におられたとは!帰国子女として、「国語」と「日本語」の狭間で苦労された様子が興味深く書かれている。日本語を教えることについても改めて考えるきっかけになった。小学校、中学校、高校の国語のライブ授業のページは、活字でありながらその場で講義を受けているような臨場感が味わえる。そして解説はあの「水村美苗」さんだ。素晴らしすぎる。「こころ」読み返そうかな。
2017/08/23
たま
「井上ひさしを読む」を読んで編者の小森さんが帰国子「男」で外国語と日本語の習得について思うところありと知り、この本を読みました。日本に住んでいると、親が日本人なら自然と日本語が話せるはずとか、外国で育てば自然と外国語が話せるはずとか、そんな通念が蔓延しているのだけど、それに対する異議申し立てとして読んだ。それにしてもこの通念は本当に強くて、普通の日本語で自分の考えを表現する訓練をやらないし、その結果そういうことができる政治家もいない。なんとか変えていかないと、と思う。
2020/08/19
はづき
小森陽一と米原万里は、プラハで同時期に小学校時代を過ごしていたのか。どんな時代を過ごしてきたかがわかった。前半は読み物として面白かったけど、後半は国文学者としての授業(小学校~大学)への向き合い方や紙上再現も興味深い。ところどころに専門用語が出てきて、意味がつかめなくなるけど。
2017/10/18
ドシル
日本で生まれ、その後チェコスロバキアのソビエト学校で学んでいた著者が、自身の日本語の習得過程を俯瞰し、振り返っている前半。 諸事情により、大嫌いな国語の教員になったり、日本近代文学を専門とするようになるから人生は不思議だ。 小学校や中学校への「道場破り」のやり方も興味深い。 私の母語は日本語だから、あまり運用できるようになった過程は意識したことはない。 帰国子女の学習言語獲得や異文化でのカルチャーショックはなんだか、ろう者やコーダから聞いた話との共通点が多いように思った。
2017/09/23
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