少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (角川文庫)
少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (角川文庫) / 感想・レビュー
おかむー
登場人物の造形や文調に漂う森見感、中盤までの寄り道やもたつきなど惜しいところも少なからずあるけれど、読み終えてみればその熱量と読後感におおいに満足。『たいへんよくできました』。ひとことでいえば青春物語である、ひとりの大学生が迷い、堕落し、後悔し、恋慕し、妄想し、躊躇し、覚醒し、突破し、そしてひとつの奇跡を起こす。終盤の盛り上がりが特筆モノなだけに、主人公・十倉がハラを括るまでが冗長気味なところは実にもったいない。総じてプラスとなるかどうか好き嫌いが分かれる作品かもしれないですね
2017/03/22
まこみん
乙一さんの帯推薦文に釣られて。高校時代の友人の死の謎を解く為に、2浪して東京の大学へ入った十倉は、古い寮の屋根裏に住む女子高生に出逢う。分野としてはミステリーよりは青春ファンタジー。度々綴られる十倉の妄想…暴想ぶりが呆れる程可笑しく、キネマを巡る仲間達の変人ぶりも漫画的。ラストの新入生はそう繋がるのかと思ったが、要らない気もした。
2018/05/03
ちょこまーぶる
読み終えた時は「奔放で良いなぁ~」と思った一冊でした。この本を読んだ方の多くの人は、作品の舞台が京都だったら森見さんの作風に似ているなぁ~思われたかもしれないなぁ~と感じました。でも、内容は、しっかりと大人にはなかなか理解できない青春の只中にいる彼らの謎に迫る姿、少女への切ない恋心、映画への熱中感と我儘さを感じさせてもらって、若さの特権みたいなものを感じさせてもらいましたね。そして、僕の一番は引かれた点は、謎解きではなくて屋根裏の少女との出会いと別れの切なさと少女の素性を少し知っての再会の瞬間でした。
2019/10/21
hnzwd
友の死の真相と遺作となった未完の映画を巡るミステリ??ファンタジー色が強めですが、意外な真相とか驚きもあるし、、伏線と言えるかは微妙ですが。ストーリーは悩める大学生と、その友人である変人達を中心としたドタバタ劇。登場人物が全員、古い話し方をするという違和感が中々、、森見さんの登場人物の変な話し方はクスリとさせてくれるのですが、こちらは違和感になってしまったのは少し残念。話し方にも一応の理由はあったので、まあまあ。。
2017/03/17
dr2006
妄想でこの世を焼き尽くせ!映画とは監督の妄想の結晶だ。久々にサイケデリックな作品に出会えた。しかも貧乏学生、達観と陶酔、そして可愛い撫子まで出てきて、森見臭を感じずにはいられない(笑)和哉は熊本から上京し吉祥寺にある私大に進学した。親の反対を押し切った為、孤独を許さないボロアパートに下宿することになった。勉学以外の目的が見つからず停滞していた和哉は、ある日泣け無しの私物が無くなる事に気付き声大に訴えた。すると、部屋の天袋から一人の少女がストンと降りてきて和哉の前に正座した。キネマと少女を映す個性的な奇譚。
2018/04/07
感想・レビューをもっと見る