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肉弾

肉弾

肉弾

作家
河崎秋子
出版社
KADOKAWA
発売日
2017-10-06
ISBN
9784041053829
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肉弾 / 感想・レビュー

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青乃108号

北海道。父と禁猟区に立ち入って熊を探す引きこもりの若者。人間の都合でオオカミと交配され誕生し結果人間の都合で捨てられたオオカミ犬。その他多くの捨てられた犬達はいつしか野犬となり群れとなる。そんな中父子は熊を見つけ出すが、父は敢えなく食い殺される。若者はなんとか逃げるが、オオカミ犬をボスとする野犬の群れに襲われる。若者は突如野生に目覚め、群れと闘い彼等を従える。そして熊との再びの対決。文字通り喰うか喰われるかの闘い。その勝負の行方は。読み始めたら止まらない、一気読み必至。命の力強さを改めて感じる作品だった。

2024/07/08

おしゃべりメガネ

北海道は道東に在住の河崎さん作品第2弾です。前作『颶風の王』が三浦綾子文学賞を受賞しているだけに、今作も期待が高まります。今作はとにかく'サバイバル'な作風でした。色んな意味で本当に多岐にわたる'サバイバル'な展開がスピード感失うことなく進んでいきます。人間が残した自然界への影響ははかり知れないばかりで、本作を読みことで改めてしっかりと学ばせていただきました。ニートな青年がとある事情により、突如熊に襲われ、そのまま野犬にも襲われと、なかなかヘヴィなストーリーです。ただのパニック作品ではありませんでした。

2017/10/27

なゆ

すごかった。文章から脳裏に拡がる、大自然の野生の真っ只中で生き延びることの厳しさと生々しさ。ニートで引きこもりのキミヤが、嫌々ついてきた父親との熊狩りで熊に襲われ、一人きり山中を彷徨う。まだ熊は近くにいるし、野犬の群れまで。さあどうする。読んでてまず感じたのは、人間というのはなんと罪つくりな動物だろうという事。鹿や熊の行動範囲が変わるのも、野犬の群れも、そこからなのだから。犬たちの複雑な気持ちが読んでて哀しくて。正直、違ったラストを期待してしまった。「他の誰も望んてなくても、生きてやれ、お前ら。絶対に」

2018/04/04

nanako

2018年の1冊目です! 作者が「言いたいことがたくさんある」んだってことが伝わってきました。 クライマックスが意外と唐突にきてしまった感じで、もう少しそこに至るまでの過程があっても良かったのではないかと、思いました。 主人公の父親ですが、不器用でうまく表現できないだけで、彼は彼なりに息子のことをとても大切に思っていたのだと思います。

2018/01/02

Nobu A

河﨑秋子著書5冊目。17年刊行。漫画「銀牙ー流れ星 銀ー」の小説化と見紛う。言語化出来るのは筆者のみ。決して性別差別でなく女性の執筆にも驚く。筆者の文才には毎回驚かされる。羆に襲われ、野良犬にもやられそうになりながらも最後は彼らを仲間に付けて野獣と再び対峙し、喰われた親父の敵討ちを完遂する主人公。現実離れと思うなかれ、もしかしたらと思わせる周到で緻密な物語構築と展開。しかも人間の自然や動物に対する傲慢さも巧みに文中に織り込み、息を呑むとはこのこと。頁を繰る手が止まらず一気読み。興奮冷めやまぬ。味読堪能。

2024/07/14

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