君を描けば嘘になる
君を描けば嘘になる / 感想・レビュー
うどん
初読み作家さん。読みやすかったです。
2018/06/02
よっち
寝食も忘れてアトリエで感情の赴くまま創作に打ち込む毎日だった瀧本灯子が出会った、自分にはない技術を持つ南條遥都という少年の存在。お互いに認め合う二人の若き天才の喜びと絶望の物語。絵を描くこと以外の才能が壊滅的だった灯子と、そんな彼女の指針となったもう一人の天才・遥都。そんな二人のありようを影響を受けた周囲の視点からも浮き彫りにしつつ、良くも悪くも直情的な灯子に対して、断片的にしか描かれない不器用な遥都の積み重ねてきた想いが垣間見える結末は、ほんと素直じゃないなあと苦笑いしつつもとても良かったと思いました。
2018/02/05
ぶんこ
美術作品には、ある日突然に心を持っていかれるほどの感動を与えてくれる魔力があります。そういった作品を生み出す人々の脳の中を見てみたい。そんな事を思った昔を思い出し、灯子の目線で書かれた文章を読むと「なるほど」なんて納得しちゃいました。災難に遭遇した時も、ベートーベンは耳が聞こえなくなっても作曲したし、復活すると信じて読んでいました。しかし最後の最後での結末には唖然。遥都の気持ちを最後まで誤解していたようです。
2019/05/24
kitten
図書館本。綾崎さんの新刊の単行本。美術、アートを題材にした、天才たちの物語。綾崎さんだから、何かあるかと慎重に読み進めたけど、派手なトリックはなかったので、これから読む人は安心して読むといい。(マジ)章によって視点が変わるけれども、一番知りたいハルト視点はなかったなあ。それが、色々想像の余地をのこして面白いのかも。もう一度、読み直してみたい。美術のことはよく分からないけど、卑怯なほどの才能ってのは、凡人には理解できないのかも。評価、星4
2018/03/27
泰然
著者は現代版ロミジュリ『ノーブルチルドレン』シリーズで有名な作者。本作はアートと青春と愛情をテーマにして才能と嫉妬や、夢と現実、不器用な関係など誰もが一度は苦悩する青春をポップな直球で描く。作品はある過去を持つ元美術教師のアトリエ教室に、灯子という少女が表れるとこから始まる。寝食すら忘れて感情の趣くまま、創作に邁進する彼女は社会不適合者の面もあるが、天才性を見せる。ある日、遥都という秀才少年がアトリエに表れるが、運命が二人に牙を向く。才能=幸福とならない世界で、恋のない愛が何を為すのか示した手腕が見事だ。
2018/09/02
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